改造した10EM7シングルアンプの詳細な特性測定。それにしてもまあメンドクサイことをちまちまよくやるよなあ、と思う。私以外にこんなこといちいちやってる人はいるのかしらん?
諸特性は上記のとおり。周波数特性は上があまり伸びていない。高rp管をカスコードのグリッド接地で使うとこうなるんだね。DFは6.9と真空管アンプとしてはかなり高い部類に入ると思うけど、もともと無帰還で設計していたのを、NFBをかけたからこうなった。残留ノイズはDC-DCのノイズがOPTの配線に飛び込んでいるものと考えられる。
周波数特性。かまぼこ特性だが20Hzで-1dB、20KHzで-0.9dBだからバランスが取れているといえるかも。
クロストーク特性。20Hz以下の超低域が妙なことになった?
がらりと変わったLchの歪率カーブ。歪率5%での出力は1.1Wとなり、歪率がぐんと低くなった。
Lchの改造前後の歪率特性をgifアニメで作ってみた。
Rchの歪率カーブは各周波数がそろっている。
改造結果は、歪率が低くなったがトレードオフとして残留ノイズの増加と、超低域のクロストークが悪化した。残留ノイズ対策はOPTの配線を短くしてDC-DCから遠ざければ良いと思うのだが、聞こえないのなら許したら、という気持ちもある。
じつはDC-DC基板と貼り付けボスをセメダイン・スーパーX2で接着してしまったので取り外せない事情があるのだ。だからOPTの配線を何とかしようと思ってもできない状態になってしまっている。基板を無理して引っ剥がせば良いかもしれないが、基板を壊してしまっては元も子もない。
どうも超低域のクロストーク悪化は出力段ショートループコンデンサとOPTのインダクタンスによる共振周波数が関係しているらしい。その現象がNFBをかけることによって発生している。なお、測定チャンネル側のカップリングコンデンサを外してもクロストークが減らない。
クロストーク対策
①気にしない(笑)。20Hz以下なので音質に影響しない?
②ショートループコンデンサを増量して共振周波数を下げる。
③ショートループをやめて、普通のカソードバイパスにする。
さて、今回の本当の目的に入ろう。試聴で音色がどのように変化しただろうか。これは私より耳の良い?妻の言ったことを記したので、それで判断できると思う。
「いいと思うよ。」
「バランスが良い。」
「わりと奥行きとか透明感が出ている。」
「フォルクローレ(音楽)を聴いて楽しくなれる。」
「ブンブンいわないのが好き。」
「広がりのある感じもするし。」
「疲れるタイプの音ではなくて良かった。」
「強い高音の歪む感じがない。」
「音がよく出てるね、解像度が良いっていうか。」
「雑味が取れてる。」
「生音に近いんじゃないかな。」
今回の改造で、私も好みの音に変化したので良かったと思っている。ごく普通の音になっちゃったらわざわざ真空管なんぞ使ってアンプを作る意味が無いからだ。
ただもう少し透明感が欲しいと思う時があるから、カップリングコンデンサを今使っているSHIZUKIからASCやJantzenなんかに変えたらどうだろう?
もう少し、このアンプで遊べそうだ。