71Aシングルアンプを製作しようと思ったのは、別の何かを探していたらアンプに挿していない71Aが4本出てきたことだった。1号機(譲渡済み)があるので2号機とした。
基本的には1号機の回路を踏襲するが、全く同じではつまらないのでパラレルフィードとしてみた。チョークは手持ちの春日無線4B-20MAを使い、OPTはARITO's Audio LabのSE-7K4W-GLを購入した。このOPTはシングル用のSE-7K4WをギャップレスとしたものでDC電流を流せない代わりにインダクタンスが高い。LCR-T4で測定したら107Hと101Hだった。
回路図を上記に示す。71Aのフィラメント電源はLDOの3端子レギュレータTA4805Sを採用。ブリッジ整流にSBDであるSB340LSを使ったのは整流後の電圧を高く取りたいため。アンプ部は1号機と同じカスコードエミッタフォロアで71Aのグリッドを直結ドライブする軽いA2級だ。
レイアウトは1号機と同様シンメトリー配置とした。電源トランスの後方にチョークコイルを置く。チョークコイルはむき出しではなくアクリルケースを被せる。ケースの固定には垂直取り付けブロックを使ったが、エポキシ系接着剤だと取れやすいみたいなのでセメダインXゴールドはどうかなあ?
シャーシはWATZのS-254(W250mm×D150mm×H40mm t1.0mm)のアルミ弁当箱とした。これは鋼板の裏蓋付きなので、裏蓋をシャーシに取り付けると強度が増す。
シャーシの加工は自分で行った。塗装はいつものダークグレーマイカメタリックで今回は艶ありとした。塗装後に水研ぎをしてコンパウンドで磨いた。
諸特性を上記に示す。1号機との違いは高域が伸びたこと。これはOPTによるところが大きい。3端子レギュレータやFETリプルフィルタを使ったことにより残留ノイズは0.1mVを切った。出力は1.0Wと1号機と同じ。詳細な特性はこちらを参照。
歪率5%での出力を1号機と2号機で比較。低域の違いがパラレルフィードによるものだと嬉しいのだけど。OPTの出力容量の差もあるので一概には言えない。
71Aを1cmくらい沈めれば良かったのだが、サブプレートと電源のスイッチが干渉するのでスイッチを後面に回し、71Aは点灯しているのが殆どわからないのでパイロットランプが必要になり、といろいろ面倒なことになる。
チョークコイルを覆うアクリルケースは中が透けて見えるようにスモークにした。不透明だと何だかわからない物が中に入っているみたいに感じるから。
シャーシサイドにはアクリル板をあしらった。今回は貼り付けではなく皿ネジで固定した。
低域のクロストーク対策で、チョークにショートリングを巻いてみたのだが全く効果がなかった。
シャーシ内部。カソードバイパスコンデンサ160V100μFを追加したのだが、置き場所に困って平ラグに立ラグを固定する形でシャーシ中央とした。
駄耳の私による試聴結果。1号機の音色は記憶の中でしかないのだが、低音の質に違いがあるようだ。1号機が倍音が豊かな印象なのに対し、2号機はあくまで正しい低音という感じ。音色自体は清楚そのものでいかにも普通なのだが好音質だ。拙300Bシングルアンプとの試聴比較ではスケール感は劣るものの中高音ではいい勝負をする。