おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

主に真空管を使用した自作アンプでの試行錯誤を公開しています。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

E88CCプッシュプルアンプ・完成

E88CCpp_outside22.jpg 先日ARITO's Audio Labでミニワッター用のOPTが発売された。正確にはヤフオクに出品されたと書くべきか。今回OPTを運良く落札できたのでミニワッターを製作することにした。

 

入手したOPTはDE-14K2Wで、1次14kΩppの出力容量2W(40Hz)という仕様。このOPTの周波数特性が公開されており、番号はNo.21H001とNo.21H002。

E88CC_TESLA.jpg

使用する真空管は最終的にTESLAのE88CCを採用。6DJ8系の真空管ならどれでも使用可能。

 

E88CCpp_schematic7.gif 回路図を上記に示す。初段は2SK117BLの差動、2SC1815GRのエミッタフォロアでE88CCのグリッドを直接ドライブする。出力段は差動(正確にはもどき)となっている。小容量のカソードバイパスコンデンサC1は、高域でDEPPの要素を混ぜてしまうというもの。いきさつはココに書いてあるので気になる人は読んでみて下さい。

 

電源部には整流後にチョークが入れてあるが、これは本来は要らないがデザイン上必要と思ったのであえて使い、FETリプルフィルタを通している。初段の電源は安定化されている。

 

回路的には6N6P全段差動プッシュプル・ミニワッター2014が一番近いかな。

 

E88CCpp_characteristic3.gif 諸特性を上記に示す。歪率5%での出力は0.8W。周波数特性は高域-3dB点が174kHz〜179kHzまで伸びている。NFB量は8.9dB。

 

E88CCpp_freq7.png Analog Discoveryによる周波数特性。じつに500kHzまでピークやディップが見られない見事な特性。ARITO's Audio LabのOPTの優秀さを裏付けることとなった。

 

E88CCpp_distortion_Lch2.gif 歪率特性。各周波数でカーブがよく揃っている。100Hzが微妙にずれているのはDCバランスがすこしずれているため。

 

E88CCpp_oscilloscope.gif 0.047μF〜0.47μFのコンデンサをつないで方形波観測し、ダミーロードをオンオフしてみるが発振の兆候は見られない。

 

詳細な特性はこちらを参照。

 

使用機材

オシレータ TEXIO AG-205

ミリボルトメータ LEADER LMV-181B

デジタルオシロスコープ IWATSU DS-5105B

オーディオアナライザ Panasonic VP-7721A

ANALOG DISCOVERY 2

PC Lenovo ThinkPad E470 OS Windows10 Home

 

E88CCpp_case9.jpg ケースはLEADのEX-2004で、W200mm×D140mm×H40mm。上下カバーは厚さ2mmのアルミ押出材で加工が大変な反面、バリが出にくい。

 

ケースの穴加工は自分で行った。私が使ったのはアルマイト地で、現在はEX-2004G(ダークグレーのレザートーン半つや塗装仕上げ)が販売されている。

 

E88CCpp_case10.jpg フロント・リアパネルは厚さ1.5mmの柔らかいアルミ。 さて、いつものようにブツ撮りをしてみた。自分としては気に入ったデザインに仕上がったと思う。

 

E88CCpp_outside9.jpg E88CCpp_outside10.jpg E88CCpp_outside11.jpg E88CCpp_outside12.jpg E88CCpp_outside13.jpg E88CCpp_outside14.jpg E88CCpp_outside15.jpg E88CCpp_outside16.jpg E88CCpp_outside17.jpg E88CCpp_outside18.jpg E88CCpp_outside19.jpg E88CCpp_outside20.jpg E88CCpp_outside21.jpg E88CCpp_inside7.jpg シャーシ内部。電圧増幅部はユニバーサル基板を使い、電源部は平ラグに組み立てた。

 

E88CCpp_outside23.jpg 駄耳の私による試聴結果。プレゼンスに優れ空気感がよく出る。粒立ちがよく、低音にボリュームがあってスケール感がある。出力0.8Wのアンプに思えない。女性ボーカルに艶がのるのはカソードバイパスコンデンサのおかげかな。まるでべた褒めじゃないか。自画自賛。自分好みに仕上がった。

 

世の中の真空管アンプ重厚長大の大出力のものが持て囃されるように思われるが、私にはミニワッターで十分だと思うし製作が面白い。

 

私は真空管に魅力を感じていて、それを使ったアンプで音楽を聴きたいと思っている。真空管を使うからにはデザイン的に自分の気に入ったものにしたい。自分好みの音色なのが一番で、なおかつ特性が良ければ言うことはない。