おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6N6Pプッシュプルアンプ・完成

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NFBを8.5dBかけて数日聴いていたが、気になる点がないのでこのまま完成とした。NFBの抵抗値を変更すると位相補正容量も変更しなければならず面倒ということもある。フロントの保護紙を外し、サイドパネルを取り付けた。

事の起こりは2011年までさかのぼる。当初は6N6PのDEPPアンプとして組んだのだが、たまたま6922を挿してみたところ試聴結果が良かったので変更してしまったという経緯がある。今なら音色をチューニングする手立てがあるので、差動アンプ(正確にはもどき)として組むことで、どうなるのか確認したかった。

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回路図を上記に示す。基本的には6N6P全段差動プッシュプル・ミニワッター2014をなぞっているが、C1がミソで、高域ではDEPPになるように仕込んである。とはいっても可聴周波数帯では差動アンプとして動作しており、DEPPになるのはさらに高い周波数となっている。しかし、試聴した限りにおいてはDEPPの持つ音色が影響しているように感じる。それは特に女性ボーカルに現れる。出力段を差動にしたアンプは端正だが色気に欠けると思っているし、クラシックのような器楽曲に合うと思う。

-Cが-2.2Vと浅いのは、DE-8K2Wの1次巻線による降圧がKA-8-54P2に比べて大きいのを、+Bを上げることで対策したことによる。定電流回路に使っているLM334Zは電位差が1V程度から動作するので、-Cが浅くても問題ない。


本回路ではバスブーストを不採用としたが、このアンプはスケール感があって必要性を感じない。同様に入力ボリュームを使わなかったのは、トランス式DAC側でボリュームを操作するためで、DC漏れがないのでDCカットのコンデンサも入れていない。

諸特性を上記に示す。Lchの6N6Pを別のと交換したので、初期評価時より数値が微妙に変わっている。残留ノイズはオーディオアナライザでの測定値を記載した。Lchのほうがすこし高めなのは、OPTが電源トランスに近いので誘導を受けているためと思われる。とはいっても50μVレベルだから、もし仮にヘッドホンをつないだとしてもノイズは殆ど感じないだろう。

出力は1.5W~1.6Wとミニワッターだが、ニアフィールドで聴く限り出力が足らない印象は全くない。

 

使用機材
オシレータ TEXIO AG-205
ミリボルトメータ LEADER LMV-181B
デジタルオシロスコープ IWATSU DS-5105B
オーディオアナライザ Panasonic VP-7721A
ANALOG DISCOVERY 2
PC Lenovo ThinkPad E470 OS Windows10 Home

 

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NFBをかけた最終的な周波数特性。高域まで左右チャンネルが一致して凸凹のない優秀な特性。位相特性もよく揃っている。

クロストーク特性。20Hz~20kHzでは-82dB以下となっている。

Lchの歪率特性。6N6Pを別のものに交換し、110Hzでのカーブが他の周波数と揃った。歪率5%での出力は1.5W。なぜ100Hzでないかというと、100Hzではオーディオアナライザの数値がゆらゆらして測定できないため(私は50Hz地域に在住)

Rchの歪率特性。歪率5%での出力は1.6W。

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(10kHz方形波、ダミーロード8Ωでの出力2Vp-p、100mV/div(プローブ10:1)、20μS/div)

SP端子に0.047μF~0.47μFのコンデンサをつないで方形波観測し、ダミーロードをオンオフしてみるが、リンギングは少なく安定している。

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レイアウトはオーソドックスな配置とし、8Pの平ラグに電源部を、ユニバーサル基板にアンプ部を組んだ。

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シャーシはW200mm×D130mm×H40mm、t1.0mmのアルミで株式会社奥澤に特注したもの。シャーシの加工は自分で行った。塗装はいつものダークグレーマイカメタリックで磨き仕上げとした。シロートの塗装だし、1回失敗したので再塗装している。

いつものようにブツ撮りをしたので掲載する。

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電源トランス前の空き地はあんまり気にならないかな。

 

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シャーシ内部。案外配線が少なく見えてすっきりしている。ユニバーサル基板の製作に関する記事はこちら

 

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シャーシの折り返しがあるため角度をつけて撮ってみたがやっぱり見難いね。

 

駄耳の私による試聴結果。音色は繊細で低音に量感があってスケール感に優れ、女性ボーカルに艶が乗る。狙い通りの音色になっているようだ。

 

6N6Pはバラツキが多く、利得に差が出やすいようだ。もしその差を少なくしたいのなら、予備として6N6Pを入手し選別することをお勧めする。

 

(2023.02.16追記)

春日無線変成器のKA-8-54P2をARITO's Audio LabのDE-8K2Wに置き換える際の注意点。

P1とP2の位相がそれぞれ逆になっているので、記号そのままに繋いではいけない。巻き始めの点・に注目!
(追記ここまで)