89Yを使ったアンプを考えては消えてを繰り返しているが、ふと6Z-P1シングルアンプに89Yを挿してみたらどうかというのが浮かんだ。
89Yと6Z-P1のベースはUZで同じ。ただ89YのG1がトップに出ている。
89Y Heater:6.3V 0.4A pin:1H 2P 3G2 4G3 5K 6H Top:G1
6Z-P1 Heater:6.3V 0.35A pin:1H 2P 3G2 4G1 5K,G3 6H
つまり4ピンと5ピンをつなぎ、G1へは直接トップにつなげば良い。これで89Yが3結の状態になるはず。カソード抵抗を最適化しなくても、とりあえずこの状態で鳴らせるはず。
回路図に実測の電圧を記入。
実測の電圧を元にロードラインを引いてみた。3結のEp-Ip特性図は高間氏のデータ集から引用。グリッド電圧が浅いところに動作点があるのは最適化されていないため。
簡単に諸特性を測定。5%歪みでの出力は0.7Wといったところ。
Analog Discoveryによる周波数特性。高域にピークは見られない。
歪率特性を測定。1kHzで初段と出力段の歪み打ち消しが効いて最低歪率が0.05%となった。
とりあえず特性に問題ないことが確認できたので、3階の自室で聴いてみる。当初はパサパサした乾いた音色だった。試聴を続けていくと繊細な感じが出てきて6V6GTのよう。さらに聴き込むと透明感のある、粒立ちの良い音色になった。89Yは6F6系だが、直熱管の47に似たサウンドだと思う。
こんなサウンドはあまり記憶になく、アンプに仕立てても良い気がする。
ロードラインを最適化し、OPTの1次インピーダンスを7kΩにしたロードラインを引いてみた。計算上の出力は1.7Wとなった。OPTの損失があるから1.4Wといったところだろうか。
カットオフのグリッド電圧が低く、-120Vとなるとドライブが大変だ。ロードラインを立てて5kΩとすればドライブはラクになるが、DFが低くなりOPTの1次インダクタンスも低くなるので低域の再生能力が低下する。