おんにょの真空管オーディオ

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古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

Sentinelラジオのレストア

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またラジオ病が再発してしまった。これはアメリカのSentinelというメーカーの、AM専用ラジオだ。幅22cm、高さ14cm、奥行き12.5cmというかわいいもの。

 

型名はModel 338。調べてみると、1950年頃の製造らしい。60年も経っている。これは完動品を購入したもの。ツマミとダイアルのバランスが良いので気に入ってしまった。

 

この頃の日本のラジオというとMT管でサイズが横長のものが多いのではないか。幅は大抵30cmを越えると思う。なのにこのSentinelラジオは小さい、ちっちゃいといったほうが適切か。アメリカの家は日本に比べると当然大きいのに、なんでちっちゃいラジオなのか。もちろん大きいラジオもあるけれど、何だか面白いね。

 

これはプラスチックのように見えるけれど、ベークライトにクリーム色の塗装を施したもの。残念なことに、一部の塗装が剥げて下地が露出してしまっている。だからなかなか買い手がつかなかったのだろうと思う。これをタッチアップで補修することもできるけれど、逆に目立ってしまう恐れがあるので全塗装しようと考えている。

 

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これはシャーシを取り出したところ。湿気の少ないアメリカで使われていたせいか、錆は見あたらない。使用している真空管は、12BE6,12BA6,12AV6,50B5(50C5かも?),35W4の5球構成だ。ちなみに回路図はこちらにある。

 

アメリカのラジオは回路図がこのように公開されているので、レストアしやすい。対する日本のラジオは箱の内部に貼り付けてあるのがせいぜいで、回路図がないと困る場合が多い。

 

特徴的なのはループアンテナを使っていることだ。上の画像の右上にちょっと見えるやつだ。裏蓋に銅線をぐるくると巻いて貼り付けてある。日本のラジオではそうではなく、外部アンテナを張る必要がある。ループアンテナなら、強電界地域なら十分実用になる。アメリカというと広い国土で、ラジオ局と距離的に離れている場合が多いと思うのだが、この頃のラジオにはループアンテナを使ったものが多い。

 

日本でループアンテナが普及しなかったのは、タンスの上に置かれる場合が多いため、指向性のあるループアンテナでは困るから、ということがあるようだ。日本ではその後バーアンテナに移行したが、これこそ指向性のあるものなので、あながちラジオの向きを変えられないのが原因だとは言い切れないだろう。

 

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これは、シャーシの裏側を撮ったもの。特徴的なのは、ダイナマイト型をした電解コンデンサだ。アメリカのラジオではよくこの形のコンデンサが使われている。容量抜けしたらしく、このコンデンサだけは交換した跡があった。

 

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また、左下に見える茶色い四角の素子は、集合素子(というのか?)だ。この中にはコンデンサと抵抗が入っている。これに相当する回路図は、"COUPLING PLATE"と書かれている点線の枠内のもの。この中で、".01MF"と書かれているカップリングコンデンサは、高絶縁が要求される。日本のラジオにはこの部品にオイルコンデンサがよく使われていて、リークして不具合をおこす。Sentinelラジオではこのコンデンサが集合素子の中に入っていて、たぶんセラミックコンデンサだと思うが信頼性は高いのではなかろうか。

 

さて、このラジオ、どのようにレストアしようか。まずは整流出力の電圧を見て35W4のヘタリ具合、ダイナマイト型コンデンサの容量抜けが無いかどうかを確認。後は出力管のグリッドにプラス電圧が出ていないかどうか、カソード電圧で出力管のヘタリ具合を確認。グリッドにプラス電圧が出ていたら、集合素子を交換する必要がある。同じ部品が手に入らないので、ディスクリートで組むしかない。

 

ボリュームは特殊な形のものが使われているが、数回ぐりぐり回していたらガリが取れたので、これはそのままとする。あとはペーパーコンデンサを新品に交換しよう。

 

また、ダイアルがスリップするので、糸を交換する必要がある。他には調整するくらいだろうか。

 

メインは箱の再塗装だ。ダイアルと"Sentinel"の文字が窪んでいるので、再塗装のあと文字入れをする。果たしてうまくできるかどうかはわからない。とある掲示板で質問したら、水性塗料を用い、ヘラを使って文字入れすると良い、とアドバイスをもらった。

 

すぐできちゃうとつまらないから、できるだけのんびりやろうと思う。