おんにょの真空管オーディオ

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古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6N6P直結パラシングルアンプ・総集編

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ロシア管の6N1P(6Н1П)と6N6P(6Н6П)があるので、これらで小出力のアンプを作ってみたいと思った。6N1Pは後に6922へ変更したが、6N23P(6Н23П)を購入したので最終的にはこっちにするつもりだ。

 

当初はプッシュプル用のトランスを使ってこぢんまりとしたアンプを作るつもりだったが、最近ぺるけさんのWebでミニワッターを盛んに宣伝している。手持ちに東栄のOPT-5SRがあるので、ミニワッターならぬミリワッターを作ってみよう。

 

ぺるけさんのミニワッターの回路のキモは、出力段信号ショートループ、初段−出力段直結、FETリプルフィルタ使用だ。私もこの路線を踏襲しよう。但し同じ回路で作るのはつまらない。真空管を4本使って初段SRPP、出力段パラシングルという構成を考えた。

 

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で、回路設計の結果はこうなった。最初リプルフィルタのゲートに入るところは1段のCRフィルタだったが、後に2段へ変更した。直結回路なので、SRPPの+B電圧を決定するR5と出力段のカソード抵抗R8は組み立て後にフィッティングが必要だった。

 

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レイアウト設計は試行錯誤の結果、画像のようになった。電源トランスと出力トランスのコアの軸を合わせると誘導ハムが最小にできる。シャーシを縦長に使ってサイドウッドを両側に配置した。結局ぺるけさんのミニワッターみたいになってしまったが、シャーシを横長に使うとオーソドックスなデザインとなり面白くない。

 

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最終的な諸特性は上記の表のようになった。周波数特性は、低域は伸びているものの、高域の落ちは早い。出力はわずか500mWで、当初目標の1400mWを大きく下回ってしまったが、100Hzの歪率を考えなければ900mWは出ている。

 

利得は5.1倍(14.2dB)で、6N1P-6N6Pという構成ではかなり低くなるのが予想されたが仕方ない。6922-6N6Pでも同様。残留ノイズは多めだが、スピーカーからはハムは殆ど聞こえない。これは6922のヒーターハムが出ているのだろうと思う(6N1Pでは0.23〜0.24mVに収まっていた)。

 

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周波数特性は20Hzあたりに0.3dB〜0.4dBの盛り上がりがあるが、かなり低域まで伸びている。高域のレベルの落ちは素直で、300〜400KHzの小ピークを無視すれば、特にピーク・ディップは見られない。

 

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歪率特性は直線的に増えるシングルアンプ特有の特性を示している。0.001Wという極小出力でも歪率の上昇が見られないのは、残留ノイズが少ないためだ。10KHzが例外だが、これはパソコンのノイズと思われるが詳細不明。3本の歪率が揃わないのは、初段と出力段で歪みの打ち消しをやっているため。

 

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クロストーク特性は、低域に少々悪化が見られるが、もともと残留ノイズに埋もれていた部分が見えているのだろう。高域は20KHzで-58dBと、まあまあ。高域の悪化は、測定環境による可能性がある。

 

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傷つき防止用に塗装用マスキングテープを貼っていたのだが、それを剥がす時にいっしょにニスまで剥がれてしまった。痛恨の失敗。おまけに後でニススプレーを使って補修を試みたが、液だれしてしまって最悪の状態。これからは木ねじによる固定ではなくて、両面テープにしよう。完成したら貼り付けるだけ。

 

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FUSEの文字がひっくり返っているが、ヒューズを入れる時に逆さまにしてしまったため。写真撮る時に気づけば良かったんだけどね。

 

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シャーシ内部。曇天の日の屋外で撮ると良いようだ。シャーシに露出が合ってしまうので、露出補正している。

 

妻の試聴結果

透明感があって澄んでいる。

音の解像度が良い。

霧が晴れたみたい。

前のは(6N1P)中高音が出て低音が出ていなかった。

 

私の試聴結果

リファレンスのEL32パラシングルアンプと比べてみても遜色ない出来だ。

6N6Pアンプのほうが、低音の重心が下がったような感じがする。