おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

入力トランス

真空管アンプを作るとき、予算に電源トランスが占める割合が高いのはご存知のとおりだ。仮に電源トランスレスでアンプを作るとした時、問題となるのは感電対策だ。アンプは単体で使われることはないので、接続する機器にAC100Vがかかってしまうのはまずい。

 

アンプの入力側を絶縁する方法としては、入力トランスを使うことが挙げられる。そこで、試しにトランジスタ用のドライブトランスを使ったらどうなのか、実験してみることにした。

 

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今回の実験では山水のST-78を用いた。これは1次:2次が10KΩ:10KΩのインピーダンスで2次側にはセンタータップが出ている。直流抵抗は実測1次343.4Ω、2次438Ω。なお、1次・2次間の絶縁耐圧については言及しないとする。

 

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実験回路は上記のようにした。2次側に接続された抵抗Rは後述する。

 

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はじめに周波数特性を測定してみた。入力電圧は1.0V。濃い青の線が2次側に抵抗Rを接続しない時で、84KHzに15dBものピークが生じてしまう。2次側に抵抗Rを接続すると、抵抗値でピークのレベルが変化する。R=10KΩでは少々ピークが見られるので、R=4.7KΩにしたらなだらかに落ちるようになった。最適値は4.7KΩ〜10KΩの間にあると考えられる。

 

また、抵抗Rの値が低くなると、2次側のレベルが低下する。2次側オープンを0dBとすると、1KHzにおけるレベルはR=47KΩで-0.17dB、R=10KΩで-0.67dB、R=4.7KΩで-1.87dBとなった。

 

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次に拙6922プッシュプルアンプを用いて、入力にST-78を接続した時の周波数特性を測ってみた。結果は上記のグラフのようになった。6922プッシュプルアンプは入力に47KΩの抵抗が入っているので、入力インピーダンスは47KΩと抵抗Rの並列となる。

 

濃い青線はST-78を入れない時で、やはりST-78の2次側に4.7KΩを接続した時がなだらかに落ちているが高域の減衰が激しい。高域の減衰に目をつぶるなら使えそうである。 じつは、

 

この実験には少々問題がある。というのは、減衰が始まる低域や高域でのオシレータ出力を測るとレベルの低下が見られるのである。

 

ST-78のインピーダンスの影響を受けて、オシレータの出力レベルが低下してしまうのだ。即ち、ST-78のような入力トランスを使ったアンプはプリアンプ側の出力インピーダンスの低いことが必須なのだ。

 

例えば差動ライン・プリアンプでは出力インピーダンスが約2KΩとなっているから不適。拙7C5ラインアンプならトランス出力で150Ω端子があるから大丈夫だと思う。