改造した6B4Gシングルアンプの試聴で、妻に「平凡になった。普通になった。」と言われてしまった。確かに「インパクトがあってクールな感じ」は影を潜めたけれど、真空管アンプならではの味わいまでが無くなってしまっては困る。山菜のアクを抜いたら普通の野菜になっちゃった、というところか。
拙6B4Gシングルアンプは蒸気機関車をモチーフにしている。デザインから連想される音は、無骨だが力強くなければならない。
今回の改造が原因なのは間違いない。一番簡単なのは元に戻すことである。果たして特性改善によって「普通の音」になってしまったのだろうか。
とりあえず簡単にできることで思いついたのは、6B4Gのカソードバイパスコンデンサを+Bから元のGNDへつなぎ直すこと。
再び試聴する。妻は「楽に聴けるようになった。これならこっちのほうがいい。」抑圧された感じが無くなったそうである。
カソードから+Bにつなぐコンデンサは音質改善効果があると思っていたけど、改悪のケースも存在するんだ。
更なる改善は思いついた時にやるとして、詳細な特性を測定してみた。
NFBをかけた諸特性。利得は19.6倍、NFBは10dB。以前に比べDFは高くなり、残留ノイズが減少した。
周波数特性は高域が伸びた。左右の特性差はOPT固有と思われる。
クロストーク特性。低域は10dB程度の改善。100Hz〜1KHzはむしろ悪くなっている。+Bの低インピーダンス化による弊害なのだろうか? 元々はCRのフィルタを左右で分けていた。6B4Gのカソードバイパスコンデンサを+Bにつなぎかえると改善するのは確認済み。
歪率は大きく改善された。今回はWaveGeneを使用。1KHzの最低歪率は0.03%を割っている。100Hzの微小出力でのカーブが変だが、何か原因があるのか。測定し直しても同様であった。
右チャンネルでも100Hzのカーブが妙だ。 改造の成果としてはいまいち気に入らないけれど、このまましばらく聴いてみることにしよう。