おんにょの真空管オーディオ

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古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

ボリューム付トランス式DAC・トランスの特性測定

PCのDAC出力をラインアンプ経由でなく直にメインアンプに入れたらどんな音質になるのか興味がある。ところが私の作ったメインアンプには入力ボリュームの無いものがあり、直に接続することができない。

 

すでに作ったトランス式DACには残念ながらボリュームを取り付けるスペースが無い。それならボリューム付トランス式DACを作ったらどうかなあ?

 

それにはまずトランスが必要だ。但し、ぺるけ式トランスDAC用のトランスはノグチトランスのWebサイトを見ても高価だし品薄だ。安価に入手できるトランスを使って手持ちの測定器を駆使し、トランス式DACを作りたい。

 

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私の作ったアンプで、歪率が10%となる入力電圧を上の表に示す。6922プッシュプルアンプの0.67Vが最大である。DACに秋月のAKI.DAC-U2704を使う場合、0dBFSでの出力電圧は0.64Vだったから、トランスの変圧比が1:1でもほぼ問題ないことがわかる。

 

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ヤフオクで運よくトランスを落札できた。2個で1,200円。 出品者の説明は、「たぶん600Ω:600Ωのトランスだったと思います。巻き線A側は中点有り・B側は中点無しです。」ということだった。もしかしたらトランス式DACに使えるかも、と思ったのだが、果たしてどうだろうね?

 

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重さは46g、サイズはW29×D25×H13mm。タムラのTpAsシリーズと同じくらい。

 

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どちらが1次側かわからないし、とりあえず端子に番号を振ってDMMで抵抗を調べてみた。

 

どうやら端子1,2,3側が巻線Aで中点有り、端子4,5側が巻線Bのようである。端子6は他の端子やケースにも導通が無く、シールドかもしれないがわからなかった。

 

巻線A側とB側のどちらが1次側なのか、あるいは2次側なのかわからないが、600Ω:600Ωのトランスならどっちでもいいんじゃね? 本当はわかるのかもしれないけど。自分的には中点のある巻線A側が1次側なら嬉しいぞ?

 

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とりあえずインピーダンスはどうなんだろう?と思って、上記の回路で測定してみた。巻線B側(2次側?)は開放とした。

 

インピーダンスをZとすると、Z=epRs/eR で求めることができる。

 

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結果は上記のグラフになった。測定周波数でインピーダンスが変化するから、一般的にどの周波数での値を言うのかわからない。インピーダンスは、やはりわからなかった。というか、どうでもいいや。

 

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次は変圧比。0.51:0.495だからトランスの損失を考えると1:1だと思われる。端子4,5側に600Ω(601Ω)を接続した時の端子1,3側インピーダンスは618Ωと計算できる。なお、測定は1KHzで行った。

 

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端子1,2側に0.54Vを入力すると端子4,5側は1Vとなった。変圧比は1:1.85。損失を考えると1:2といったところ。

 

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端子2,3側に0.53Vを入力すると端子4,5側は1Vとなった。変圧比は1:1.89。やはり損失を考えると1:2といったところ。

 

端子2は中点であろう。たぶん変圧比1:2のトランスとして使用可能と思われる。

 

次に周波数特性を測定してみた。トランスの端子4,5側に600Ωを接続し、端子1,3側にオシレータを接続して600Ω両端の電圧を測定した。なお、オシレータの出力インピーダンスは600Ω。

 

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0dBを1Vとした時のトランスNo.1の周波数特性。-10dB=0.316Vでの測定も行った。0dBの30Hz以下で急にレベルが下がっているのはコアの飽和だろうか。高域はすんなり伸びており特性は優秀。

 

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トランスNo.2の周波数特性。やはり高域が伸びており素直な特性だ。

 
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トランス単体の歪率特性を測定してみた。参考に50Hzも測定してある。100Hzでは出力1V時に0.25%の歪率となっており、使えるかもしれない?といった感じ。

 

トランスを150Ω:600Ωとして使えば0dBFSで0.8V位は得られそうなので、これで何とかあがいてみようと思う。