某掲示板にて5670W差動パラプッシュプルアンプをPp=1.4Wで使ったら1年足らずのうちに4本がボケてしまったという書き込みがあった。
では拙5670Wパラプッシュプルアンプではどうなのか、検証してみることした。
拙アンプは差動アンプではなく普通のDEPPで、電源トランスの制限から電流をかなり絞った設計になっている。差動の場合はA級でしか動作できず、かなり電流を流した設計になりやすい。
拙5670Wパラプッシュプルアンプのロードラインを上の図に示す。設計上の動作点は赤丸のところでEb=180V、Ip=4mA、Eg=-4V、Pp=180*0.004=0.72W (53%,1.35Wmax)。
8KΩppのOPTではパラレルなので1管相当16KΩppとなり、DEPPではその1/4、4KΩでロードラインを引く。もう1本の赤線は8KΩのロードラインで、折れ曲がる点でA級からB級へ移行する。実際にはゆるやかにカーブするのだが作図上そうなっている。
ヒーター 6.3V 0.35Aで、消費電力は6.3*0.35=2.2W。5670Wの1本あたりの消費電力は2.2+0.72*2=3.64Wになる。
室温25℃の室内で拙アンプの電源を入れ、1時間ほど放置した時の温度を放射温度計で測定してみた。結果は真空管が最高70℃〜75℃、ケースが40℃〜60℃となった。
真空管の温度はGEの5670のデータシートでは最高165℃となっており、かなり余裕のある温度で動作していることがわかる。
私の場合は真空管アンプを次々に製作し、どんどん聴くアンプを取り替えてしまうので1台あたりの聴く時間が短く、長期テストは行っていない。
真空管の設計でかなり温度が上がるのを想定しているものと、ゆるやかな動作にして温度があまり上がらないのを想定しているものでは寿命が違ってくるだろう。
同じ型番の真空管でもメーカーによってその目標値が異なっているだろうというのは十分予想できる。ただ寿命が来たらすぐ交換するのを前提にしていた昔と現在では考え方を変えなければいけないだろう。
MT管の場合はソケットを通じてシャーシに放熱するのを前提にしている。でも空気の対流で真空管を冷やすにはサブシャーシを用い、ソケットを半落とし込みにするのが良いらしい。ただソケットからの放熱がサブシャーシに行われることを考えると、サブシャーシが高温になるのを避けたほうが良いかもしれない。
参考までに回路図を添付。