おんにょの真空管オーディオ

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古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

VT-62シングルアンプ・ジーノイズ対策

VT-62シングルアンプは電源オン後ドライバー段がヒートアップするまでジーノイズが出る。値は2〜3mV前後で無視できるといえば無視できるといったところ。これはVT-62のグリッドに接続されているドライバーのチョークがノイズを拾うためで、ドライバーのタマがヒートアップすると低インピーダンスとなるのでジーノイズが出なくなる。

 

対策をいろいろ考えているが、今のところ決定打が出ない。

 

 

画像

対策案の回路を上記に示す。

 

(1) CDS方式

これはVT-62のグリッドをCDSである時間GNDに低抵抗で落としてしまうもの。電源オン後C1がチャージされる間LEDが光るのでCDSが低抵抗となる。その後LEDが消灯すると高抵抗となるという方式。

 

CDSは光が当たって低抵抗になるのは早いものの、光が遮断されて高抵抗になるまでが遅いらしい。またCDSの個体でバラツキがあるので選別が必要。CDSが高抵抗になるのに時間がかかるとドライバーがヒートアップし動作状態になるが、カソードが低抵抗のために過電流が流れてしまう。だから微妙な調整が必要となる。

 

(2) フィラメントをパワーオンディレイ

これは低オン抵抗MOSFET M1をR6とC3の時定数でディレイをかけてオンさせフィラメントの点火を遅らせる方式。

 

M1のオフ〜オンの遷移状態で発熱するが、その後は低オン抵抗となるので発熱しない。D6は電源オフでC3のチャージを抜くためのもの。

 

電源オン後10秒程度VT-62が点火しないので違和感があるかもしれない。

 

(3) ディレイタイマー

これは説明不要と思う。+B電源をディレイ投入したり、SP端子をディレイをかけてオンしたり何でもできる。ただね、ノイズ対策のためにディレイタイマーを入れるのは大袈裟だと思うんだよね。

 

(4) +Bをパワーオンディレイ

電源オン後にワンショットでLEDを光らせる。MOSFET M2のソース〜ゲート間をCDSの低抵抗でショートさせると電圧がVTのしきい値を割り、+Bが出ない。その後CDSが高抵抗になると+Bが出るようになるというしかけ。

 

+Bが出ない間はR7に2.2Wの電力が消費されるが、せいぜい10秒間くらいと想定。CDSに高圧がかかってもLEDとは物理的に離れているので耐圧は問題ない。CDSには4V程度しかかからないから電流も少ないはず。

 

以上、4方式を考えてみたが、VT-62シングルアンプにはフィラメントをパワーオンディレイする方式が一番合うように思われる。ただ電源オンしてしばらくはフィラメントに点火されないので気持ち悪い。+Bをパワーオンディレイする方式は動作音がしないし次点候補。ただ+B回路のCRをCDS追加のために変更する必要がある。

 

同回路形式を採用しているSV811-10Aシングルアンプには(1)のCDS方式が良さそう。フィラメントには4Aも流れるのでパワーオンディレイするにはM2の発熱対策が必要で現実的ではなくなる。

 

他にも+Bをパワーオンディレイする回路も考えてみたけど、どうも出力インピーダンスが上がったりリプルが増えるなどの副作用があってボツになった。また、+Bに傍熱整流管を使えば解決できるが、すでに作っちゃったものに手を加えるのは困難だ。