6B5はドライバー管のカソードと出力管のグリッドが内部で接続され、出力管はポジティブグリッド管となっている。これはダイナミックカップルと呼ばれている。データシートでは出力管のrpは24.1KΩあるのだが負荷は7KΩとなっていて、そのままではDFが低くなってしまう。
実験当初はノグチのPMF-6WSを使用したが、低域が寂しいためインダクタンスの多い春日無線のKA-5070Sに変更した。また出力管にKNFをかけたがKA-5070Sでは高域にレベル低下が起きたため(原因不明)、オーバーオールNFBを深めに9dB弱かけることでDFを2程度に上げ、試聴結果も良かったのでOKとした。
OPTは多極管用のインダクタンスが高いものがお薦め。KA-5070Sの他にはノグチのPMF-15WSが良さそう。もっとOPTにお金をかけられるのなら橋本トランスのHC-507Uがフィットする。
最終的な回路図を上記に示す。初段は利得を稼ぐため2SK30AGRと6J5によるカスコードとした。R21とR22は電流測定用なので本来は不要。+B電源は出力インピーダンスの低いMOSFETリプルフィルタとした。KA-5070Sの1次及び2次がひっくり返っているのは、このほうが高域が伸びるため。
6B5のプレート電圧は最高325Vだが本機は280Vに抑えている。出力は1KHzで3.5W〜4W程度だがこれで十分だろう。ちなみにプレート電圧325Vでの出力はデータシートでは5.2Wとなっている。
詳細な特性はコチラ。
シャーシはW350mm×D200mm×H60mmで裏蓋付き。1.2mm厚のアルミだからヤワだが自宅に置いて使用するので問題ない。シャーシの高さは60mmと40mmがあるが60mmのほうにした。でもシャーシ内はスカスカなので40mmでも十分収まる。
6B5は4本入手したが、うちKEN-RADの2本は電流が流れ過ぎるため不適と判断。残る2本はクリアのものとカーボンスートされたものなのでちぐはぐだが仕方ない。ゆくゆくは予備球を入手してデザインを統一したい。
6J5は6B5の片方がカーボンスートされているのでメタル管を挿してある。このほうがノイズ的には有利と思う。本機は6C5も差し替え可能なので、いろいろ変えて楽しむことができる。
本機の消費電力は42.5Wあるが、発熱するのは真空管と電源トランスくらい。シャーシ内はFETが1.2W程度発熱するのみ。放射温度計で室温26℃、1時間くらい稼働させたときの温度を測ってみたら、シャーシは31℃、電源トランスは36℃、6J5は42℃で6B5は110℃〜130℃だった。
6B5のプレートはシャーシより離れて上にあるため、長時間稼働させてもシャーシが暖まらない。このため放射熱を感じないので真夏でも気にならない。
シャーシは何も考えずにダークグレーマイカメタリックにした。この色は磨き傷が目立たないし落ち着いた色で気に入っている。
シャーシのサイドは合わせ目を隠すためにアクリルパネルを貼り付けてある。
RCA入力端子をどちらかに寄せるとクロストーク特性や残留ノイズに影響するので、本機は左右に振り分けてみた。
RAYTHEONの6B5。カーボンスートされていないので中の電極が見える。
HYTRONの6B5。上部もカーボンスートされていて中が見えない。ヒーターが点灯すると、見る角度によってはチラチラと点灯しているのがわかる。
シャーシ内部。ガラガラで1箇所にパーツが固まっている。平ラグは+B電源。
反対側から。ノイズを避けるためAC1次配線がシャーシの隅を半周している。
私より耳の良い!?妻による試聴結果を以下に記す。
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やさしい音にできたね
丸みがある感じがする
音のバランスは良い
特に気になるところはない
音が上から降りてくる感じがする
今回はクリアな感じはしなかった
心地よかった
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どうも本機は私が製作するアンプの音の傾向とは違うようで、あまり良い印象は受けなかったみたいだ。でも私の印象は中高音が鮮やかで低音も良く出ているといった感じで気に入っている。決してNFBのかけすぎによる特徴の無い優等生的な音ではない。