6AH4GTパラシングルアンプの回路変更を行う。変更箇所はOPTの2次8Ωの代わりに6Ωを接続して3.3KΩ:8Ωとすることと、ヒーターを4本並列にすること。NFBの見直しも必要か。
変更前にカソード電圧を測ったら、1本が66.1Vから62.9Vと低くなっておりゲッターも減ったようでカソードのコーティングが剥がれて管内に付着している。最大プレート損失7.5Wの78%で使っているから酷使はしていないはずなのだが劣化しているので別の1本に替えた。カソード電圧は66.7Vだった。
修正自体は簡単だから30分もかからなかった。ヒーター電圧はAC101Vの時に6.5Vとなり、+3.2%に収まった。これで問題なし。
諸特性を測定。利得はなぜだかよくわからないが6%程度しか下がらなかった(計算では13%の低下)。だからNFB抵抗及び位相補正容量は変更せず。周波数特性の高域は劇的に伸びた、のではなくて別の要因。これは後述する。低域は変わらず。5%歪みでの出力は3.8Wに増加。DFは4.5から5.6に増えた。残留ノイズは変わらず。消費電力は3W減った。6.3V巻線を1つ使わなくなったせいか。
周波数特性。110kHzのディップが小さくなり-3dBを切らなかったので数字上は高域が伸びたようになっているが高域のカーブは殆ど変わっていない。
クロストーク特性。これは変更前後でほぼ同じ。
Lchの歪率特性。全体に低歪みとなり、5%歪みでの1kHzの歪率は4.0Wだった。
Rchの歪率特性。こちらも同様で、5%歪みでの1kHzの歪率は4.0Wだった。
再び試聴する。本当はこれが重要なんだけど、変更前後で音がどうなったか?当初は何だか華がなくなったみたいでつまらないなあ、と思っていた。でもそのまま流して聴いていたら良くなってきたらしく聴き応えのある感じが出てきた。
回路図を再掲。
実際の動作点に対し6.6KΩでロードラインを引いてみた。右下のほうが長いと思うのだが合わせこんだらこうなった。
NFB量はむしろ減っているのに歪率が改善したり、利得がOPTの変圧比どおりにならなかったり。よくわからないことが多い。