作った、鳴った、おしまい。ではあんまりなので考察と反省を。つまんないので読み飛ばして下さい。
[回路設計]
赤字で記入したのが実際に測定した電圧だ。
① +B2が設計の264Vに対し252Vと低めであった。ある程度の誤差は仕方ない。そのため12BF6と10EW7 section1のプレート電圧が低めになってしまっている。これはリプルフィルタの抵抗値を下げることで対処可能。リプル電圧も増えるが、現状0.4mVであり少々の増加は許されるだろう。
② 12BF6のヒーター電圧が13.6Vと高めになった。これは4本分で0.6Aと電流が少ないためだ。抵抗を入れて電圧を落とすのが良いだろう。
③ その他はほぼ設計値どおりであった。
[特性評価]
① 周波数特性
周波数特性をとってみないと何とも言えない。でもNFB無しでも広帯域を実現できている。12BF6の2極管部プレートをカソードにつないでいるが、問題ないと思われる。
② 残留ノイズ
今日測定してみたらLch 0.9mV,Rch 0.5mVだった。電源ON直後はLch 0.18mV,Rch 0.15mV。電源トランスからのOPTへの誘導ノイズは低い。原因は12BF6からのノイズ、10EW7からのノイズ、+B1のリプル電圧、-Cのリプル電圧、アースの不備等の可能性が挙げられる。
③ 利得
18倍の予想に対して16.8倍(Rch)だった。低めなのは、12BF6の実動作におけるμが低めのためだろう。
④ 出力
4.9Wの予想に対して3.8Wだった。+B1が低めなせいだろう。正確には歪率特性を取ってみないとわからない。
[予想された問題点に対してどうだったか?]
・10EW7の不良→2本の10EW7を入れ替えたところ、利得が正常になった。1本のsection1の利得が低いことが判明。わかっても、予備のタマが無いのでどうしようもない。
・ 10EW7 section1のプレート電圧不揃い→やはり予想どおりで、12BF6のプレート電圧が揃っているのに10EW7 section1のプレート電圧はLchが23Vも差が出てしまった。やはり予備のタマが必要だ。
・ ドライブ段と出力段が同一の管内にあり、浮遊容量により発振する。→発振に対する余裕度を確認してみないとわからないが、NFBを6dB程度かけて終わらせるつもりなので大丈夫だろう。
・ 12BF6は電極の支持が弱く、マイクロフォニックノイズが出やすい→これは全く問題が無かった。2極管のプレート支持が甘いためかもしれない。
・ 12BF6のノイズが多い→やはり予備のタマを用意して選別すべきだろう。
・ NFBがPFBになっている→これは現状の回路でNFBになっている。OK
・ OPT-10Pの高域特性不揃い→これは周波数特性を取ってみないとわからないが、揃っている感じだ。
・ +B1,+B2のGNDループによるハムノイズ混入→問題は出ていないと思われる。
[その他]
・ 熱設計→ +B1のリプルフィルタ抵抗から出る熱を考えていなかった。3W(+33Ω分)の発熱はかなりのもので、電解コンデンサが熱を持ってしまう。シャーシに放熱用の穴が必要だ。