42シングルアンプの周波数特性を測定してみた。KNFBのみでオーバーオールNFBはかけていない。
意外に良い特性だ。20Hzで-4dB、高域は30KHzで-3dBといったところか。100KHz付近にピークがあるので、NFBをかけたら補正コンデンサが必要になるだろう。
ここで書かなければならないことがある。じつは、出力トランスはハモンドではないのだ。電源トランスとチョークは黒、シャーシも黒だ。出力トランスだけが違うので浮いてしまう。
そこで黒の合わせカバー型OPTを探してみた。イチカワのITS-10Wなら、穴加工のみでOKだ。但しインピーダンスは7KΩ:8Ω。オネダンは6,930円。2個で13,860円だ。
えいやっ、と買ってしまった。
なるべくお金をかけない方針だったのに痛い出費だ。なにやってんだ。
でもいいじゃないか、趣味なんだから。気に入らなかったら解体して再利用すればいいのさ。
7KΩで42のロードラインを引き直してみた。
動作点はEp=250V,Ip=30mA,Eg1=-17.5Vで同じ。
Eg1を0V〜35Vまで変化させると、プレート電圧は30V〜440Vに変化する(±205V)。
トランスの巻線比は7KΩ:8Ω→29.6:1だから、205*0.707/29.6=4.9V。3Wの出力がとれる。
実測でクリップ前の出力は2.8Wだったから、トランスの損失を考えると妥当といえるだろう。
他に確認する項目としてスタガー比があるが、シングル用出力トランスのインダクタンスは低いので大丈夫だろう。
ここで話題が変わる。
残留ノイズの音質(?)だが、ブーンでもジーでもなくビーという感じなので気になる。
原因を探してみた。それにしても残留ノイズの値はしょっちゅう増減するので究明しづらい。
●ドライバ段グリッドをアースしてみる。
Lch 2.0mV→0.9mV、Rch 2.0mV→1.3mV
★そんなに減らないが、初段の可能性あり。
●初段カソードにパスコン220uFを入れてみる。
Lch 2.0mV→2.5mV、Rch 2.0mV→1.2mV
★Rchは減ったがLchは逆に増えてしまった?
●6.3Vのアースを外す。
Lch 2.3mV→42mV、Rch 3.3mV→155mV
★ノイズが激増、アースの効果あり。
●6.3Vヒーターにハムバランサ100Ωを入れてみる。
★殆ど変化がない。元通り、ヒーターの片側をアースする。
結局よくわからないので、オーバーオールNFBをかけてノイズを減らすことにした。
予定通り、6dB程度のNFBをかけることにする。
左右chの利得に差があるので、ドライバ段76を左右入れ替えたら両chとも22倍(26.8dB)になった。
実験で、利得が10倍となるNFB抵抗の値は49.6KΩであることがわかった。
これに近い手持ちの抵抗は47KΩなので、とりあえずそれを入れてみる。
残留ノイズはLch 0.6mV、Rch 1.5mVとなった。
SPに耳を近づけるとまだ小さくビーといってるけど、この程度で妥協しよう。
NFB後の利得は9.8倍(19.8dB)となった。NFB量は7.0dB。
ちなみにNFB抵抗の値を減らしていくと発振する。NFBは22〜23dBで、15dB程度の余裕あり。
意外に発振しにくいものだ。
NFB抵抗の値を決めたので、位相補正コンデンサの値を求める。
周波数特性では100KHzにピークがあるので、
C=1/(2πfR)=1/(2π*100E+3*47E+3)=33.9E-12
33pFのコンデンサを入れれば良いだろう。
アキバへ行って買ってこなければ。