電源部をアナログ電源に変更する大改造を行った。フタを開けてみたら3端子レギュレータとリプルフィルタを入れることになってしまった。やはり残留ハムが心配だったからだ。
半波倍電圧整流では、電流を多く流すと電圧降下が大きく、20Vの東栄J201では48Vが取り出せないと判断、東栄のJ241(24V1A)に変更。リプルフィルタのTrには2SC3425を使った。5Vの3端子レギュレータには150mAタイプのTA78L005APを使った。
改造後の回路図は以下のとおり。
また、改造後の外観は以下のようになった。右上に見えるのが電源部基板。
電源部基板のアップ。
東栄のJ201は1,470円、電源部の部品代は合計約3,600円だった。スイッチング電源では2,400円だが、ノイズフィルタとスイッチング電源本体のシールドが必要だ。結果的に価格ではあまり変わらなくなってしまう。ちなみにスイッチング電源と一緒に撮った画像はこんな感じ。
超小型スイッチング電源とはいえ、4個も使うとアナログ電源とあまり大きさが変わらなくなってしまう。
改造後は発振に悩まされた。振幅も周波数も一定しない、ぐちゃぐちゃの発振だ。原因の切り分けをしようと思って、LM386Nのコンデンサ出力をアースすると発振が止まるので、対策が困難を極めた。また、3端子レギュレータの入力電圧が低く、リプルを取りきれない。半波整流は出力電圧が低いのだ。トランスの端子を6Vから12Vに変更。
アンプ本体のTrを2SC1815から2SC3421へ変更しているので、5M-HH3まわりで発振が起きているのではないかと思い、5M-HH3のグリッドに100Ωの抵抗を入れたらやっと発振が止まった。この抵抗値が適切かどうかわからない。5M-HH3はTVのチューナー部で使われた真空管なので、きっとgmが高くて発振しやすいに違いない。いったん発振を起こしてしまうと、電源を通じてLM386Nにノイズが加わり発振ループが形成されるのではなかろうか。
もともと5M-HH3にグリッド電流を流す回路だから、グリッドに抵抗を入れて電流を減らすと利得も減少する。ちなみにグリッド電流は7.7mA〜8.1mAだった。100Ωの両端の電圧から電流を算出したもの。改造後の内部画像は以下のとおり。
黄色いのが5M-HH3のグリッドへ行く配線だ。かなり長く引き回しているのがわかるだろう。スイッチング電源で、5M-HH3の動作し始めで発振するのも、もしかしたらこれが原因だったのかもしれない。この配線はもともと短くするべきだったのだ。
LM386Nのあたりのごちゃごちゃは、電源ON/OFFのポップノイズを低減させるためのもの。冒頭の回路図にあった、コンデンサとダイオードを追加した部分だ。これが実際に効いているのかどうかわからない。LM386Nアンプまわりは、本番ではICB基板に組もうと思っている。
かくして、電源ONでは、動作しはじめるまで無音となった。電源OFFではポップノイズが少々出るが、対策するかどうかは未定。利得はLch 22.8倍(27.2dB)、Rch 25.3倍(28.1dB)と使いやすいところに落ち着いた。
残留ノイズはLch 1.02mV、Rch 1.10mVと激減。SPに耳を近づけてみると、わずかにサーッという音とブーンという音がする。ブーンというノイズは、おそらく電源トランスの漏洩磁束を入力トランスか出力トランスが拾っているのだろうと思う。本番ではトランスの向きを変えて組むことで、この影響を減らそうと考えている。