おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6N6P直結パラシングルアンプ

12B4A全段SRPPアンプは6月まで開発凍結してしまったし、今がアンプ作りに良い季節なのに何もしないのはもったいない。

 

じゃあ何が良かろうか、ということで以前から考えていたロシア管の6N1P(6Н1П)と6N6P(6Н6П)を使ったアンプを組んでみようと思う。

 

画像

回路はどうするか、ということで、球露屋さんのところにある6N6Pプッシュプルアンプが大いに興味を引くが、同じものを作るのはオリジナリティの点でつまらない。

 

また、最近ぺるけさんのWebでミニワッターを盛んに宣伝している。そうだ、出力トランスは以前購入した東栄のOPT-5SRがあるし、これを使ってシングルアンプを作ってみよう。

 

ぺるけさんのミニワッターは、真空管を2本使って0.7Wの出力を得ている。回路のキモは、出力段ショートループ、初段−出力段直結、FETリプルフィルタ使用だ。私もこの路線を踏襲したい。

 

でも同じものを作るのはやはりつまらない。真空管を4本使おう。6N1Pが2本、6N6Pが2本だ。回路構成を検討すると、初段SRPP、出力段パラシングルというものが浮かんだ。初段SRPPの出力と出力段グリッドを直結する。

 

出力は2倍の1.4W程度を狙う。1.4Wって、1400mWだ。ラジカセのスペックにも劣るような数値。1個100円程度のアナログパワーICで達成できてしまうもの。それを旧時代の真空管を使って、2福沢諭吉のアンプを作る。こんなこと、アマチュアでなければ思いつかないよなあ。

 

直結回路の問題点は、ヒーターのウォームアップ時に出力管へ過大電流が流れてしまうことだ。これを回避するために、FETリプルフィルタを使う。+Bの立ち上がりをゆっくりにすることで、過大電流を防ぐ。

 

また、FETリプルフィルタで+Bのリプルを極力抑えることで、出力段ショートループでのハム対策になる。出力管のカソードと+Bをコンデンサでつなぐことは、カソードに+Bのリプルが加わることになるからだ。

 

もう1つの問題点は、出力段カソード抵抗の発熱だ。直結回路は出力段のカソード電圧が高くなるため、どうしても発熱量が多くなってしまう。これを回避するために、例えばバイアス回路を入れたのでは、回路が複雑になってしまう。今回はミニワッターであるし、出力管の電流を少なくするということで対策しよう。

 

6N1Pは6DJ8似ということもあり、低い+B電圧が適しているようだ。私がかつて6922(6DJ8の高信頼管)でラインアンプを作った時には、Epは120V弱だった。SRPPでは2段積みとなるので、その倍の+Bが必要となる。

 

6N6Pのグリッド電圧は、直結回路だからその120Vが加わることになる。6N6Pも、あまり高くない+Bが適しているようだ。180V程度で使うと良さそうだ。+Bはカソード電圧、グリッド電圧、OPTでの電圧降下を加えると300V程度が必要となる。

 

+Bの電源トランス出力は、1.25倍くらいで割ると240Vとなる。必要な電流は70mAくらい。ヒーターは6N1Pが2本で6.3V1.2A、6N6Pが2本で6.3V1.5A。これらをまかなえる電源トランスというと、ノグチトランスのPMC-100Mが相当する。まさにそれ、といった感じだ。ショートリング、磁気シールド付きで6,120円と値段もリーズナブル。この回路を考える時に、まずPMC-100Mありきで検討したから、そうなってしかるべきなのだ(笑)。

 

画像

で、現状の回路がこんな感じとなった。6N1Pの動作点はEp=110V,Ip=4mA,Eg=-1.2V。6N6Pの動作点はEp=176V,Ip=15mA,Eg=-7V。6N6Pは控えめな動作だが、カソード抵抗がかなり発熱するので抑えた。それでもカソード抵抗R8の発熱は3.6Wにも達してしまう。

 

6N6Pはヒーターハムが出やすいらしいのでヒーターバイアスをかける。これは6N1Pのヒーターバイアスにも利用する。回路図ではR12,R13,C6がそうだ。またこの回路ではブリーダー抵抗を兼ねている。真空管を挿さないで電源ONした時の+B放電用にもなっている。

 

回路中には350V100μFのコンデンサが4個使われている。C3,C4,C5だ。この電解コンデンサの値段は、アンプ全体のかなりの割合を占めるので抑えたいが、容量を減らしたくないので妥協した。

 

ゲインの計算をしてみると、初段が23.3倍、出力段が17.5倍となった。トランスの変圧比は7KΩ:8Ωなので29.6:1、トランスの損失を10%とするとトータルのゲインは23.3*17.5/29.6*0.9=12.4倍。NFBを6dBとするとゲインは6.2倍。私が作るアンプとしてはかなり低いが、まず6N1P、6N6Pありきなので仕方ない。

 

まだ回路は検討段階なので変わる可能性がある。特に、VR2,R10,R2,R4,R5,R8は現物合わせで変えるかもしれない。

 

とにかく6N6P直結パラシングルアンプは開発スタートした。開発を凍結させないようにやろうと思う。