おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6P1Pシングルアンプ・クロストーク特性と周波数特性

懸案事項であった特性上気になる点について、いろいろあがいてみた結果を報告しよう。

 

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上のグラフが現状のクロストーク特性。可聴周波数帯のクロストーク量が最低-56dBとあまり良くない。

 

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何が原因なのかを切り分けるために、右チャンネル6P1Pの第1グリッドをGNDとショートさせて、左チャンネルに信号を入れ、L→Rのクロストーク特性を取ってみた。ピンク色の線がそれ。

 

GNDショートで少し残留ノイズが増えているが、クロストークは改善しない。これは、初段6N2Pが原因ではなく、出力段6P1Pが特性の悪化を招いているということだ。

 

片チャンネルの6P1Pのスクリーングリッドに、CRによるフィルターを入れてみたがクロストークは減らない。

 

どうやら+B(交流的にはGND)やGNDに共通インピーダンスが存在し、クロストークの悪化を招いているようだ。

 

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そこで+BとGND間に100μFのコンデンサをつないでみた。結果は1KHzあたりから高い周波数ではクロストークが改善されるが、低い周波数ではあまり改善が見られない。これはもともと+Bのインピーダンスが低く、コンデンサのESRのために低い周波数では改善度合いが少ないのだろう。

 

さて困った。どうしよう?

 

要するに信号が他のチャンネルに漏れないようにすればいいんでねえかい?ということで、コンデンサによる出力段信号ショートループを試してみることにした。

 

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回路図は上に示すように、カソードバイパスコンデンサを+Bにつなぎ変えただけ。ただ耐圧を上げなければならないので、手持ちの100μF・350Vのものとした。

 

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結果はこんなグラフになった。クロストーク量が最低-74dBと大きく改善された。ただ、なぜか高域のクロストークが悪化してしまったのでメリットばかりとは言えない。残留ノイズも0.3mVから0.5mVに増えている。

 

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あっそうか、ということで、+Bに再びコンデンサを追加してみた。手持ちの関係で47μF・350V。

 

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再びクロストーク特性を測定すると、高域のクロストークが改善された。FETリプルフィルタの出力インピーダンスは低いとはいっても高域でインピーダンスが上昇し、クロストークが発生すると考えられる。 これで、20Hz〜20KHzにわたってクロストークは-63dBを達成できた。

 

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改善前後のL→Rクロストーク特性。

 

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改善前後のR→Lクロストーク特性。

 

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次は高域の周波数特性が左右で異なる点の解析。上に示すグラフがNFB無しの周波数特性。左右の6P1Pを入れ替えても、別の6N2Pにしても高域の減衰カーブがずれたままだ。Zobel素子を外しても変わらず。

 

どうやら出力トランスOUT-54B-57自体の特性が左右で異なっているようだ。多量のNFBをかけたので左右の特性違いが強調されたのだろう。

 

できることなら出力トランスを交換してみたいが、オカネがかかることだしそのままで行くことにする。

 

最後に試聴結果。 妻の言ったことを記す(こればっかり笑)。

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透明感が出た。

歯切れが良くなったね。

1つ1つのパートの分解能が良いよね。

聴きやすくなった。

(ギター)ベースの音が埋もれてたのが浮き上がってきた。

ピントのずれてたのが今日のは合ってきた、そんな感じ。

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一聴して鮮明になったのが私の駄耳でもわかる。出力段信号ショートループでこんなに効果が出るとは思わなかった。前回音楽ファン向けだなんて書いたけど、これならオーディオファンでも納得するんではないかな、と個人的には思うのだった。

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