71A直結シングルアンプのFETとトランジスタをぺるけさんの頒布品と交換した。平ラグ板を外して作業したので思いのほか時間がかかってしまった。その他、+B電圧調整用の半固定抵抗を普通の抵抗に交換してある。
半導体が変わったので、詳細な特性を再測定してみた。周波数特性で左右に差があるのは、それぞれの71Aで内部抵抗が異なるからと思われる。右チャンネルの周波数特性が低域寄りで、かつダンピングファクターが高い。
残留ノイズは今回もクロストーク測定時の値を記入してある。両チャンネルの入力をショートした状態だと0.5mV〜0.7mVくらいになる。原因不明。試聴時スピーカーに耳をくっつけてもほんのわずかウーンと鳴っているのが聞き取れるくらいだから、実使用上全く問題無い。
消費電力20W弱というのはかなり低い値だ。真空管の頭頂部を触っていられるくらいだし、シャーシ内部にも大して発熱する部品が無いから、ぬるいアンプといえる。
左チャンネルの周波数特性。高域のピーク・ディップは、T-1200の特性そのものだ。左右で高域特性が揃っているし、特性の管理が優秀。
右チャンネルの周波数特性。いくぶんか低域寄りだ。71Aの内部抵抗の違いによるものだろう。
クロストーク特性。入力ボリュームを省略したせいもあるが、殆ど残留ノイズに埋もれている。
左チャンネルの雑音歪率特性。1KHzが歪み打ち消しにより低歪みとなっている。5%歪みでの出力は0.6Wといったところ。
右チャンネルの雑音歪率特性。最初はあまり歪みの打ち消しがされていないと思っていたのだが、どうやら100Hzでも歪みの打ち消しがされているようだ。その証拠に100Hzのカーブが曲線を描いている。
71Aを左右入れ替えて右チャンネルの歪率特性を取ってみた。左チャンネルと同じ曲線となったから、回路自体は問題ないことがわかった。 おそらく真空管71A自体の特性が2本で違っているのだろう。古典管である71Aを選別するのは私の主義に合わないので、これで一応完成としよう。
現状の回路図を示す。ぺるけさんの作例とはあちこちで違っており、一見同じように見えても別回路といえるだろう。基本的な回路構成は同じだ。
相違点
(1) 電源トランスをKmB60FからH9-0901にした。
(2) +Bをブリッジ整流から両波整流にした。
(3) 電源スイッチを両切りに、ネオンランプにした。
(4) +Bの電圧調整用抵抗R7を39KΩにした。
(5) +Bのブリーダー抵抗680KΩを省略。
(6) +Bの出口に47μFを追加(C6)。
(7) ツェナーダイオード駆動抵抗R10を、初段デカップリング後でなく直接+Bからにした。
(8) 71Aフィラメント電源の抵抗R12・R13を1.2Ωに変更。
(9) 初段カスコードのバイパスコンデンサが470μFになっている。あと470μF分増やそうかな?
(10) 入力のボリュームを省略。
(11) 入力のDCカット用コンデンサを省略。
(12) NFB抵抗R2が62Ωでなく56Ωになっている(NFB量が少なめ)。
(13) 71Aカソード電圧調整用半固定抵抗VR1が500Ωになっている。25回転のを使用。
(14) 初段カスコードのデカップリング(R5・C3)を左右チャンネルで分けた。
電源トランスを変更したら、2次側の電圧は高めに出ているのに整流するとぺるけさんの作例よりも低くなってしまった。だから電圧調整するべく抵抗R7・R12・R13の変更が必要だった。R7を120KΩとし、+B電圧を低めにすれば残留ノイズが減ると思われる。但し最大出力も減少する。
(5)のブリーダー抵抗は、ツェナーダイオード駆動抵抗R10で代用している。そのため真空管を挿さないでテストすると、+Bは6.2Vより下がらなくなる。でも6.2Vなら感電しないし問題ないだろう。
(9)は特性上はおそらく変わらないと思う。ただ聴感上、低域の量感が変わってくる可能性がある。
つまんない説明(笑)はここまでとして、71A直結シングルアンプのフォトギャラリーを一挙公開!(ってほどでもないけど)
私より耳の良い?妻の試聴結果。
・偏りがなくまとまっている。優等生タイプ。
・小春日和のような気持ちよさ。
・適当な透明感、ウェットすぎていない。
もし機会があったら、このアンプにナス球171Aを挿して聴いてみたい。予算があればの話だが…