5670Wパラプッシュプルアンプの詳細なデータ取りをした。
前回と変わったのは歪率特性の5%歪での出力を掲載したこと。ニアフィールドリスニングでは、この出力でも十分だし、デスクトップでの使用では全く問題ない。
NFB後の周波数特性では、30KHz〜80KHzにかけて凸凹が盛り上がってきているので微分補正でレベルを落としている。まあこれくらいは仕方ないか。左右チャンネルの特性がほぼ揃っているから良しとしよう。
クロストーク特性は、殆どまっ平らで盛り上がりがない。これは残留ノイズに埋もれていて測れないということ。
歪率特性は、何だか差動アンプのようなカーブになった。左チャンネルは5%歪みで0.6W。まあこんなもんかな。
右チャンネルの歪率特性は、ハードディストーションカーブのようになった。5%歪みで0.5W。5670Wを選別したら変わるかもしれないが、4本しかないので無理だ。
歪率特性で0.001Wのレベルでもカーブの上昇が殆どないのは残留ノイズが少ない証だ。 ところで、+B電源の整流後とリプルフィルタ後の電位差を測ったら4Vしかなかった。これではリプルフィルタの役目を果たしていない。+Bの残留リプルは約12mV。つまり、プッシュプルのバランスが取れているからリプルが出力に乗ってこないのだ。
これなら立派なリプルフィルタでなくても、CRによる2段のフィルタで十分だろう。わざわざ変える必要は感じないから、このままとする。
データを取り終わったので、仮止めテープをはがしてケースをネジ止めした。これでほぼ完成。
あとは難しい音色のチューニングが残っているが、調整の余地は少ない。というか、現状では思い当たらない。
続いてブツ撮りをする。
画像だと真空管が大きく見えるけれど、実際は親指の第一関節位しかないちっこいタマだ。
パイロットランプを省いてしまったけど、ヒーターが明るいので電源が入っていることはすぐにわかる。
このアンプはシンプルなデザインで、かつ小さい。ケースの高さがあと1cm低かったら腰高な感じが減ると思うが、電源トランスが入らなくなってしまう。
中央のタマ2個が寄っているのは真空管ソケットと平ラグを一緒にネジ止めしているため。ケースのサイズはW175×D120×H50だから、上面はB6用紙サイズより小さい。
ミニアンプだけれど電源トランスと出力トランスが2つ組み込まれているから、見かけより重く感じる。ケースに放熱穴が無いが、放射温度計で測ったら室温20℃でケースは大体36℃だった。これくらいなら大丈夫と思う。
内部。
回路図。+BのFETリプルフィルタは大げさで、CRによるフィルタで十分だ。
最後に、妻の試聴結果。
・ずいぶんすっきりとした音になったね。
・さわやか。
・バランスが良い。
・割と澄んでいる感じ。
・いい感じ。気持ちいいよね。
・ボーカルの声とかすごいくっきりしてていいじゃない。
・生音の気持ちよさに通じる感じ。