おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

EL32シングルアンプの構想

春日無線のEL32シングルアンプが気になっている。店長鳥肌モノのサウンドだという。

 

OPTはKA-5730だが、PとBをひっくり返し、5KΩのタップをEL32のSGにつないでいる。3結に近いUL接続だそうだ。

 

内部写真が公開されているので、回路を解析してみた。EL32のカソードはバイパスコンデンサをGNDではなくOPT2次の16Ω端子へつないでいる。即ちKNFがかかっている。また、オーバーオールのNFBはかかっていないが、初段プレートから出力段プレートへ高抵抗でNFBがかかっている。

 

初段は6AQ7GTだ。μ=70で6SL7相当。カップリングコンデンサでEL32のG1へ接続している。

 

不思議なのはチョークが2個使われていること。5H120mAと2H100mA。普通なら片方をインダクタンスの高いものにするはず。そうでないのは何か特殊なことをやっているのかな?

 

では自分が作るならどんなふうにするか。考えるだけならタダだから、いろいろアイディアを出してみよう。

 

シングルのUL接続にKNF、という回路を基本として、初段はどうするか。

 

真空管2本じゃあやっぱり寂しいので初段も真空管にしたい。6SL7-EL32なら釣り合いが取れるのではないか。

 

カップリングコンデンサでつなぐのは、キットでの再現性を考えたら妥当だ。でも自作するならワンオフで良いから、直結にしてみよう。6SL7のSRPPにしたらどうか。

 

電源電圧が高くなるので、手持ちの電源トランス、ST-55Sを使おう。0-280Vをブリッジ整流して、+Bは1.25倍の約350V。

 

UL接続なのでSG電圧のほうが高くなる。SG電圧は最高250Vだ。UL接続のEp-Ip特性図なんて無いので、大体でEb=240V、Ip=25mA、Ig2=4mA、Eg=-20Vと見積もった。

 

プレート電圧はOPT1次の巻線抵抗で10Vダウンするとして、340V。カソード電圧は100V。グリッド電圧は80V。

 

6SL7はプレート電圧80Vの2段積みとなる。

 

利得はEL32がUL接続な上にKNFがかかるのでよくわからない。そんなに利得は無いと思われるので、初段SRPPのプレートから出力段プレートへ局部帰還をかけてみることにした。春日無線のオリジナルを踏襲するわけだ。SRPPの上側プレートには帰還がかけられないから、入力グリッドへ少しだけかけることにする。

 

費用はKA-5730が2個で6,400円。真空管と電源トランスは手持ちを使うので、15,000円くらいでできるだろうか。

 

これで2ヶ月楽しめればOKだが、せいぜい1.5ヶ月で完成してしまうかなあ?

 

やっぱり春日無線のEL32シングルアンプの音を聴いておきたいな、ということでアキバへ行ってきた。

 

試聴にはいつも聴いている谷山浩子のCDを持参。いきなり、あれえ?なんじゃあ??ってことになった。普段聴いている音とバランスが全く異なっているのだ。

 

谷山浩子の声が、おねえさん、いやおねえちゃんに聞こえる。甲高くて、まるでアニソン・ゲームの声みたいだ。不思議なのは、早回しに感じること。CDだからそんなことはありえないだろう。

 

スピーカーはイタリアのユニットを使ったダブルバスレフということだったが、おそらくスピーカーの個性が強すぎるのだろう。

 

試聴どころではない。アンプの音色はよくわからなかった。

 

電源トランスについて聞いたら回路図を見せてもらえたので、覚書。+B巻線は210Vの両波整流用。SG電圧は252V。プレート電圧は246V。カソード抵抗は510Ωの自己バイアスで電圧は15V。KNFで、カソードバイパスコンデンサは100μF、OPT2次の16Ω端子へつないでいる。

 

+Bを256Vとすると、256/210=1.22倍。電流は定格ぎりぎりで使っている。チョークはプラス側とマイナス側に入っていた。1つでも十分と思うが。

 

前段プレートから出力段プレートにかけてNFBがかかっている。抵抗値は見そびれた。

 

動作点はEb=230V、Ik=29.4mA、Eg=-15V。SG電流を4mAくらいとすると、Ip=25.4mAになる。

 

さて、自分用の回路図に数値を入れてみた。

 

動作点はEb=240V、Ik=28.7mA、Eg=-20V。SG電流を4mAくらいとすると、Ip=24.7mA。私の考えたほうは少し電圧が高くて電流が少ない。

 

画像

 

カソード電圧は、6SL7が1Vと80V、EL32が100Vなのでヒーターバイアスをかけておくほうが安全だ。

 

バイアス電圧をどれ位にするか迷ったが、60V前後にしておけば大丈夫と思う。+Bの350Vを470KΩと100KΩで分圧して61Vをヒーターバイアスとした。

 

(2012.2.18追記)

NFBのかけ方をオーバーオールに訂正。