今回のブログテーマは基礎実験になる。つまんないのでスルーするように(笑)。
真空管差動アンプの初段カソードには定電流回路が使われるが、一番簡単なCRDを用いないで組むとしたらどんな回路が良いだろうか。数mAで低電圧から使える回路が必要だ。
CRDはFETのIdssそのものだし必ずバラツキがあり、選別が必要だ。選別を必要としない簡単な回路は何か?
一番簡単なのはLM334を用いた定電流回路だろう。抵抗1本で済んでしまう。ところがこのICは温度依存性がある。実際に使用した場合、どうなるのか実験してみることにした。
実験風景。電源には単三アルカリ電池を2本使用。ICを画用紙に貼り付けて放射温度計で温度を測る。熱源にはセラミックヒーターを使用。
企業なら熱伝対をICに貼り付けて恒温槽で測定するだろうがもちろんそんなものは無い。だから簡易測定で傾向を見るためだけのものだということをお断りしておく。
バラックの拡大画像。メタルCANのICって珍しいとおもう。
測定にバラツキがあるので近似曲線を入れた。20℃から80℃への変化で0.2mA以内に収まっている。
次に定電流特性を測定してみた。回路は上記のものを使用。合わせて2SC1815による定電流回路も組んで測定した。100Ω両端の電圧を測って電流を算出する。DMM(デジタルマルチメータ)が1台しかないので、電流計と電圧計を切り替えると間違ってヒューズを飛ばしてしまう恐れがある。だから電圧だけを測定するようにしたわけ。
LM334による定電流回路は1Vから定電流特性を示す。実際シャーシ内に組み込んだ場合は、アンプの電源を入れて暖まってしまえば温度はほぼ一定だろうから、定電流回路として使えることがわかる。
次は2SC1815の回路での特性。加える電圧によって正の特性を示す。R2を定電圧電源から供給すれば変わってくると思われるが、こんなに変化してしまっては定電流回路として使用できそうにない。
他に使えるICとしてはLT3092があると掲示板で教えてもらった。これは抵抗が2本必要だ。もし入手できたら試してみたいと思う。
(2013.02.03追記)
R2をDC12V供給とした時の定電流特性を測定した。
1V以下から定電流が得られている。ちなみにLM334では温度を上げると電流が増加したが、2SC1815回路では逆に減少した。