おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

ボリューム付トランス式DAC・SANSUIのST-75を試す

パーツケースを調べていたら、たまたまSANSUIのST-75が見つかった。これは10KΩ:600ΩCT付のドライバートランスだ。せっかくトランス式DACバラックがあるし、これを使ってちょっとイタズラしてみようか。

 

画像

始めに周波数特性を調べてみる。回路は上記のように、1次と2次を逆に接続し、10KΩの負荷とした。

 

画像

0dB=1Vとした時の周波数特性。高域の特性は500円の安物トランスにもかかわらず素直だ。低域は200Hzあたりからレベルが低下。出力電圧が低いほど低下の割合が大きい。

 

画像

トランス式DACにST-75を使った時の回路は上記のとおり。LPFは150Ωと0.022uFとした。出力側に10KΩのボリュームをつけている。

 

画像

ST-75トランス式DACの周波数特性。0dBFSで1.9V。低インピーダンスでドライブできているせいか、低域のレベル低下の割合が少なくなった。

 

残留ノイズは0.31mV。静電シールドが入っていないからなのか、多め。ちなみにTpAs-203版では0.19mVだった。但しこれはケースに入れているので、今回のようにバラックでは多めになると想像。

 

画像

歪率特性。やはり50Hz、100Hzでの歪率が良くないが、出力が1.9Vでもコアの飽和による歪率の悪化が出ていないようだ。ちっぽけで安価なトランスなのに、意外と健闘?

 

画像

いつものように試聴してみた。TpAs-203版と比べると低音の量感はあるもののブワーンとしているように聞こえる。中高域は、これだけを聴いていれば十分、と思うほどだ。

 

でもTpAs-203版に替えてみるとすっきり、くっきりするのがわかる。窓ガラスが汚れているのを知らずに見ていたが、取り替えてみたらきれいに見えるのがわかった、という感じ。

 

TpAs-203とST-75は10倍の価格差があるわけだけど、音質の差はわずかだと思う。しかしそのわずかな差を追究するのがオーディオマニアたる所以であろうか。

 

最近のヤフオクを見ているとタムラのライントランスを求める人が多く、値段もつり上がってしまう。600Ω:10KΩは言うに及ばず、600Ω:600Ωでも同様な状況だ。それが全てトランス式DACのためとは言わないけれど、集中してしまうのは回路が簡単なわりに音質改善効果が大きいからだろうか。

 

機会があったら前記のインピーダンス以外でトランス式DACを試してみたいが、希望価格の2倍にもつり上がってしまって目を白黒させているところだ。1個だけでもいいから1,000円程度で入手できれば実験してみたいと思っている。