おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6922全段差動DCDCミニワッター・トラブルシューティング

順を追って解析していったから、参考にどうぞ。

 

数時間試聴した後、一旦電源をオフにしてからオンにしたら壊れてしまった。音が出ない。

調べてみるとDCDC電源の出力電圧が低い。150Vのところを30V弱しか出ていない。

 

DCDC電源を外して単体でチェック。

後付けした2.2MΩの片側を外して抵抗値を測るが正常。

この状態で出力電圧を測ると220V位出ている。

DCDC電源は壊れていないのか?

2.2MΩが高圧リークしているのかも、と思い手持ちの4.7MΩに交換。

出力電圧を150Vに調節した。

 

元通りアンプに組み込んで出力電圧を測る。

真空管を外した状態で150Vのはずがやはり30V位しか出ない。

電流を測ると3〜4mAしか流れていない。

即ちDCDC電源の負荷が重いわけではない。

少しでも負荷がかかると電圧が落ちてしまう。

やはりDCDC電源が故障している。

昇圧用ICのリファレンス電圧を測ってみる。1.51Vで正常。

昇圧回路の出力電圧は155V出ている。正常。

つまりFETリプルフィルタで電圧降下が起きてしまっている。

リプルフィルタが故障していると考えて、基板のパターンから回路を起こしてみた。

 

画像

まず2SK3234と22uFのコンデンサを基板から外す。

コンデンサの値は正常だった。

R3,R5,R6の値は正常。

R4はうまく測れなかった。

外した2SK3234のゲート〜ドレイン、ゲート〜ソース間に導通あり。

これはおかしい。FETが壊れている。

それにしてもVDSSが500V、Idが8AのFETがそう簡単に壊れるものか?

パターンを追ってみると電源オフ時にコンデンサ電荷を抜くダイオードが見あたらない(上記回路の点線内)。これを入れないとFETが破壊してしまうことがある。

電源オフでFETのドレイン・ソース電圧は急に低下するのに、ゲートはコンデンサに充電された電荷により下がりにくいため、ゲート〜ソース電圧(VGSS)の最大定格±30Vを越えてしまう。

詳細は木村哲氏著「真空管アンプの素」の146ページに解説があるのでご参考。

 

2SK3234はたまたま手持ちがあったので交換し、22uFのコンデンサを元通り組み付けた。

画像

一応対策として1N4007を入れておいた。画像の上のFETは壊れた2SK3234。

 

元通り基板を組み付けて電圧チェック。OKだ。

数回電源のオンオフをしてみたが大丈夫だった。

それにしても昇圧側が壊れていなくて良かった。

表面実装のICやダイオードがもし壊れていたらお手上げだったからだ。

 

8B8プッシュプルアンプでは大丈夫だったのに、本機がNGなのはたまたま壊れたにすぎないのか?

 

DCDC電源の販売元の店長さんは旅行中らしく、連絡がつきそうにない。後日確認するつもり、詳細がわかったら改めて報告する次第。 →次の拙ブログにて報告。

 

同じDCDC電源を購入された方、こんなこともあるんだー程度に考えてね!

 

(追記)

リプルフィルタのFETで例えば2SK3067や2SK3767ならOK。ゲート保護用のダイオードが入っている。

 

画像