おんにょの真空管オーディオ

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古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

5A6 CSPPアンプ・コモンモードフィルタを試す

5A6 CSPPアンプはクロストーク対策のためフィラメント回路の電源トランスを別にした。でも、電源トランスのフィラメント巻線を介してクロストークが生じているとしたら、フィラメント回路にコモンモードフィルタを入れたらどうだろう?

 

入手したのはPANASONICのELF18D214というインダクタンス8.2mH、最大電流0.7Aというフィルタ。もっとインダクタンスの大きいものが欲しかったが、形状が大きくなるのと最大電流が減ってしまう。

 

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回路図の変更部分を上記の赤枠で示す。とりあえず右チャンネルに入れることにした。うまくいけば、これでクロストークが改善するはず。

 

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気合いを入れて基板で組んだ。

 

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裏側に抵抗をつけたのは電圧を変更しやすくするため。

 

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こんなふうにシャーシへ収まった。

 

変更前にフィラメント電圧と残留リプルを調べておいた。それぞれ5.0V、8.0mV。コモンモードフィルターを入れた後のフィラメント電圧は5.0V、残留リプルは8.7mV。電圧は同じでリプルが少しだけ増えた。

 

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これが当初のクロストーク特性。150KHz付近にピークがある。

 

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さっそくクロストーク特性を測定してみたのが上記のグラフ。うーん、70〜80KHzをピークに下がっているんだけど、それより低い周波数では同じ…。

 

要するにフィルタは70〜80KHzより上の周波数でないと効いてこないというわけ。少しは何とかならないかと期待していたんだけど、やはりフィルタのインダクタンスが小さいんだな。

 

より低い周波数で効くようにするにはフィルタのインダクタンスが大きいものが必要、但し電流は0.3A程度は流せないといけない。しかもフィルタのDC抵抗が高くなるとフィラメント電圧が下がってしまう。

 

即ち大きなフィルタを入れれば良いが、それならヒータートランスを追加したほうがコンパクトに収まるんだよね。

 

というわけで、コモンモードフィルタは失敗に終わったのであった。気合いを入れて基板を作ったのにね。

 

残念。まあこんなこともあるさ。