おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

5A6プッシュプルアンプ・完成

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ようやく5A6プッシュプルアンプが完成した。このアンプは元々マッキントッシュタイプCSPPアンプとしてスタートしたのだった。試作機が完成してしばらく聴き込んでみたが、直熱管なのにもっと良い音が出ないのか、という疑問が消えないでいた。

 

そこで普通のDEPPに改造することにし、出力管にはKNFをかけてみた。それは音色の違いを確かめるためだった。確かに音色の傾向は違っていたけれどこっちのほうがいいな、と思えたので、CSPPはやめてDEPPで本番機として製作することにした。

 

CSPPアンプとしてチューニングする手があったかもしれない。でもスケール感に関してはどう回路をいじったら有効なのかわからなかった。おそらく数ワットの出力ではごまめの歯ぎしりにしかならないんじゃないか。

 

もしマッキントッシュタイプCSPPアンプを自作する人がいたら、目標を最低10ワットに設定してほしい。できれば数10ワットを目指してほしい。OPTはASTR-20よりASTR-12を、できればSG専用巻線のあるASTR-08(染谷電子から発売予定)が良いと思う。

 

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電源トランスは春日無線に特注したもので、型番はH24-10291。OPTは同じく春日無線のKA-8-54Pを使った。OPTはサムテックのトランスケース、TT0005に入れた。拙アンプの出力は5.5WあるのでKA-8-54Pよりもっと出力に余裕のあるOPTのほうが良いと思う。

 

シャーシは奥澤のアルミ弁当箱O-46をトヨタ車用のダークブルーマイカでスプレー塗装したもの。側面はアルミの合わせ目を隠す目的で黒のアクリル板を貼り付けてある。

 

前面パネルにパイロットランプを取り付けるのではなく、真空管をソケットの下からオレンジ色のLEDで照らしている。だから電源をオンすればすぐに光るけれど、このアンプは前段が半導体で1秒と経たずに音が出るので違和感はない。

 

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回路図を上記に示す。初段は2SK30A-GRと2SK2752Kによるカスコード差動で2mAずつ流している。出力段はKNFのプッシュプルで自己バイアス。SG電源はFETによる簡易定電圧回路を採用、SG電圧は最大定格である150V以内にしている。

 

SG電源はブリーダー電流を流して安定化なんてのを見たような気がするけど、タマにこだわるなら定電圧放電管を使えばいいんじゃないかな。でも今回のようなFETとツェナーを使った簡易定電圧電源は簡単でコンパクトだから試してみるといいと思う。

 

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諸特性を上記に示す。出力はチャンネルあたり5.5Wで、1KHzに関していえば6W出ている。利得は5.8dBのオーバーオールNFBをかけて14.2倍。なおKNFは4.6dBかかっている。

 

出力段にKNFがかかっているわけだし、オーバーオールNFBは軽くかけるだけにしたほうが音が生きてくるようだ。また、積分補正容量を増やして安定な方向へ振ってしまうと音が死んでしまうのではないか。数10KHz以上に影響のある容量の増減が可聴周波数帯に影響があるのは考え難いが、実際そうなのかもしれない。

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周波数特性。260KHzあたりに小ピークがあるが凸凹が少なくNFBがかけやすい。現在は改良品のKA-8-54P2が出ているのでそちらのほうが良いと思う。

 

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クロストーク特性。20Hz〜20KHzで-77dBを確保している。

 

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Lchの歪率特性。歪率5%での出力は5.5Wといったところ。

 

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Rchの歪率特性。歪率5%での出力はRchも5.5W出ている。

 

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続いて5A6プッシュプルアンプ本番機の外観をご紹介。真空管はMT管が4本だけなので、できるだけコンパクトにしたい。シャーシのサイズはW250mm×D160mm×H50mm。塗装はダークブルーマイカでOPTのトランスケースは黒のつや消しとし、意図的に小さく見えるようにした。OPTのトランスケースへの組み込みかたは拙ブログをご参照。

 

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左横から。シャーシの側面は厚さ3mm、黒のアクリル板を貼り付けた。

 

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右横から。

 

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後ろから。電源スイッチをフロントに取り付けるスペースがなく、裏側に配置した。

 

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真上から。

 

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真空管ソケットの下からオレンジ色のLEDで照らしている。LEDをソケットに直付けしているから高温にさらされるけど、LEDへの電流は1.5mAと少ないので気にしないことにする。

 

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シャーシ内部。CR類や半導体をできるだけICB基板に乗せ、ピンヘッダと分割ロングピンソケットを使用した配線で基板を取り外せるようにした。

 

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反対側から。SP端子に取り付けたZobel素子が見える。

 

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夜に部屋の明かりを点けた状態ではこのように見え、LEDの照明があることをあまり意識させない。

 

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部屋の明かりを消して、目が暗闇に慣れてくると真空管の蛍光(青色)が見えてくる。とても幻想的だ。

 

最後に、私より耳の良い?妻に試聴してもらった感想を記す。

「いいね!」

「透明度もあるし解像度もある」

「生音に近いんじゃないの?」

「こもってない」」

「さわやかだよね」

「見た目もかっこいいし」

「高原の澄んだ空気のよう」

「天気でいえば快晴ってかんじ」