結局また差動プッシュプルに戻したEL32プッシュプルアンプなのだが、定電流回路と抵抗で構成した回路を比較してみた。
回路図を上記に示す。左が定電流回路によるもので1管あたり26mA流している。右は抵抗のみで1管あたり18.8mA流している。ともに0.01uFのフィルムコンデンサでカソードをバイパスしている。
2つの回路をロードラインで示す。赤が定電流回路で赤丸印が動作点。青は抵抗のみの場合で、DEPPの動作点を変えずに差動プッシュプルにしているため、動作点が右下に偏っている。
定電流回路での歪率特性を上記に示す。差動プッシュプル特有の弓なりカーブを描いている。
抵抗のみでの歪率特性を上記に示す。すこしカーブが直線的になっているのがわかる。
それぞれの歪率特性の違いをgifアニメにしてみた。これは動作点の違い、特にEL32に流す電流値の違いでカーブが異なってくると思われる。
5%歪みでの出力は定電流回路が2.6W、抵抗のみが2.7Wとなった。最大出力に関しては、動作点がずれていたほうがなぜか出力はわずかながら増えた。
抵抗560Ωの値を低くして1管あたり26mA流れるようにすればカーブが弓なりになるものと思われる。それはロードラインでの動作点の最適化を図ることでもある。
ただし流す電流を増やせば当然消費電力も増えるし、最大出力は増えないといってよく、抵抗値を低くするのはあまり意味がないだろう。