試作機のフィラメント電源は定電流回路を使用してきたが、だんだん電流設定用の抵抗値がクリティカルなことがわかってきた。また、3A5のバラツキでフィラメントの抵抗値が異なるため、かかる電圧が違ってしまう。
それなら定電圧化はどうだろう?
LM317Tで1.25Vからの定電圧電源が作れる。3A5はフィラメント電圧が並列の場合1.4Vだから、Iadj=50uAとしてExcelにぶちこんで最適値の抵抗を探したらR1=390Ω、R2=47Ωとなった。
フィラメントを定電圧化した時の回路図を上記に示す。C9とC12は不要だがいちおう入れてある。
平ラグのパターンを考えてみた。これならヒートシンクと電解コンデンサが干渉しないはず。
平ラグ基板に組み立てるパーツ。前もって足を開いたり曲げたり加工してある。電解コンデンサは基板に無理やり差し込んで足を曲げるなんてことをするとリークが発生するらしいので、ガニ股に足を曲げてある。
作成中。容器は何かわかるかな?黄色いのはマスキングテープで、パーツの仮押さえに使っている。
完成した基板。LM317Tをヒートシンクにビスで直接止めてしまったら絶縁されないね。まあヒートシンク自体が浮いているから大丈夫だけど。
フィラメントの定電圧基板を組み込んだシャーシ内部。たいして変わらない。
フィラメント電源の出力電圧は1.404Vと1.401Vとなった。残留ノイズは左右チャンネルで0.08mVと変化なし。クロストークも定電流回路と比べて変化なし。
じつは定電流回路の場合に電源オンから音が出てくるまで5秒くらいかかっていて定電流のせいと思っていたんだけど、定電圧回路でも同じだった。直熱管なのになんですぐ音が出ないんだろう?
電源オンでカソード電圧の立ち上がりを観測すると、10秒くらいかかって定常状態となる。フィラメントが加熱されるのに時間がかかっているらしい。3A5のトランシーバで回路図検索すると、PTTスイッチとフィラメント電源を連動しているものは見受けられない。PTTスイッチを押してから10秒しないと送信OKにならないなんて意味ないもんなあ。
数時間試聴してみた印象は、定電流回路の場合に比べて特に変わったところは見受けられない。私が駄耳のせいもあるけれど、これなら定電圧回路でも良いのではないかと思う。
信号電流はショートループの電解コンデンサ(回路図C4)を流れるので、フィラメント電源の違いが音に現われにくいのかもしれない。
さて、私より耳の良い!?妻に試聴してもらって感想を言ってもらった。
・気持いいね
・雑味がなくて割と解像度も良い
・澄んだ感じ
・圧迫感がなくすっきりしている
・ボリュームを上げてもうるさく感じない
・さわやか系
・(真空管が)ちっちゃいのによく鳴ってるね
・細かい音が歯切れよく鳴ってる
いつも試聴している音量だからサチっているのかもしれないけど、聴いた感じではわからなかった。