おんにょの真空管オーディオ

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古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6SN7全段差動アンプ・真空管の温度測定

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試聴中にシャーシを裏返しにしていたらドライバー手袋(白の綿100%のやつ)が真空管に触れてうっすらと薄茶色に変色していた。そんなに真空管の温度が高いの?

 

というわけで、6SN7は一体どのくらいの温度なのかと思って放射温度計で測定してみた。

 

ところで真空管の温度って放射温度計ではどこを測定しているんだろう? ガラスを通して電極の温度を測定しているわけではないし、ガラスの表面温度を測っているとすると、光沢のあるガラスでは誤差が生じる可能性がある。

 

ちゃんと測定するためには黒体テープというのを貼り付ける必要がある。ところが黒体テープは非常に高価で、実験で少しだけ測定するのに購入するのはためらわれる。

 

そこでコピー用紙をマジックで黒く塗り、真空管に巻きつけて測定してみよう。紙1枚はさんだだけで温度が何度も下がったら紙自体が断熱シートに有効!ということになってしまうし、誤差の範囲と割り切ることにした。

 

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紙を巻きつけたところ。この状態で測定する。

 

私が使用しているのはシンワの放射温度計Bで、レーザーポイント付。トリガーみたいなスイッチを押して測定物のあたりをレーザーで照射していると最高温度がわかるスグレモノ。

 

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結果は上記のようになった。誤差が大きく測定する度に最高温度が異なるので大体の値。±5℃程度の誤差を見込んでおけばいいんじゃないかな。紙を貼り付けなくてもそれなりに測定できていると思われる。

 

ところで6SN7はどのくらいの熱を発生しているのであろうか。 真空管1本あたりのプレート損失を計算すると6.74Wとなった。ヒーター電力は3.78Wなので合計10.52W。1本あたりこれだけの電力が熱になっている。アンプの消費電力は28.5Wだから、73.8%を2本の6SN7が消費している。

 

SYLVANIA 6SN7GTBのデータシートでは、最大プレート損失は両ユニットで7.5Wまで許容されているので89.9%のプレート損失で使っていることになる。90%で140℃だったら100%ではそれ以上ということになり、真空管の温度としては高くなりすぎるのではないだろうか。

 

140℃でも高いと思うけど、データシート上では問題ないはず。6SN7って初段やドライブ段の低プレート損失、すなわち低い温度で使用することが多いから、高いと感じるのだろうか。

 

真空管が発生する熱はソケットを通じてシャーシにも放熱されるので、シャーシ内はかなりの温度になっているはずで、最大出力を追い求めず余裕のあるプレート損失で使ったほうが、タマにも他のパーツにも優しいのかもしれない。