基板での動作確認が出来たので、試作機を組んでみることにした。手っ取り早く音を聴いてみたいということもある。好みの音でなかったら安物ケースに組んでしまおう。
解体したシャーシを再利用。穴開け済だからそんなに手間がかからなかった。
内部。シールド線の処理が面倒なのでボリュームレスにした。けっこう理想的な配置になっている。電源オンしているのかどうかわからないのでパイロットランプを取り付けた。
電源オン時のポップノイズはほとんど出ないので、ミューティング回路は不要。DCドリフトは±0.数mVでほぼ安定している。
諸特性を調べてみた。左右の利得は一致したのでNFB抵抗で調節する必要はない。ダンピングファクタはオンオフ法で調べたが、殆ど電圧が変わらないのでDMMを使い、周波数は400Hzで測定。結果は90.9と非常に高かった。
残留ノイズは50μV以下となった。これならヘッドホンで聴いてもノイズが気にならないだろう。80KHzのLPFを入れると半減するので、電源の出力とGND間に0.1μF程度の積層セラミックコンデンサを入れれば更に低くなると思われる。但し信号がそのコンデンサを通るので音質が変わる可能性がある。 消費電力は12Wだから低いし、これくらいならいいんじゃね?
周波数特性。左右チャンネルが一致しているので1本にしか見えない。
クロストーク特性。20Hz〜20KHzで79dB以上を確保。電源から分けたツインモノだから当然だよね。
Lchの歪率特性。10KHzの歪率は本家では非公開だけど、こんなもんじゃないかと思う。歪率1%での出力は1.9Wとなった。
Rchの歪率特性。歪率1%での出力は1.9W。左右チャンネルの歪率特性を比べてみても、残留ノイズがすこし違うだけ。
駄耳による簡単な試聴結果を書いておく。このアンプ、トランジスタが温まるまでは実力を発揮しない。半導体アンプなのに寝起きが悪い。だから熱抵抗の低いヒートシンクにトランジスタを取り付けたりすると、何時まで経ってもそれなりの音しか出ない。
半導体アンプというと、繊細でハードでシャープでダイナミックに切れ込む音(笑)を想像しがちだが、このアンプはそうではない。あくまで静かでリッチな音がする。これなら聴き疲れすることはないし、真空管アンプと比べてみてもあまり違和感がない。