前回の続き。
レギュレータ電源は入出力電位差を測ってみると無信号時で5V、出力1.9W時で4.5Vあったので、トランス1次側を100Vから110Vに変更してみるとそれぞれ4.4V、3.7Vだった。最低の電位差2.5Vを十分クリアしているのでこっちにしよう。そのほうがレギュレータICの発熱量が減るし。
もう片チャンネルのレギュレータ電源基板、アンプ部基板を作成した。バラックでテストしてみると出力トランジスタに120mA流れている。1枚目のアンプ部基板では96mAだったから25%も多い。でも動作は正常だ。
調べてみるとD2とD3の順方向電圧(VT)が影響していることがわかった。試しにD2と並列に1N4007をつないでみると出力トランジスタの電流が減る。1枚目と2枚目とでD2+D3の電位差は27mV。たったそれだけで電流が25%も違っちゃうんだ…。
例えば半導体畑の人に電流のことを聞いてみたとしよう。その人は大丈夫、問題ないと言うはずだ。ちゃんと動いているんでしょ。電流がバラつくのは当たり前ですよ、と。
1%級の抵抗を使い、トランジスタもhFEで選別した頒布品を使っているのに、たかがダイオードのVTが27mV違っただけでこんなに違ってしまう。真空管アンプで25%も電流が違ったら配線間違いを疑うし、真空管を交換しちゃうかもしれない。
電流が違うとトランジスタの発熱量も違うし、レギュレータ電源の発熱量も違ってくるから何とかしたい。そこで1枚目と2枚目のD2を入れ替えると計算上、VTの差が5mVになるので出力トランジスタの電流の差が縮まるに違いない。
ということで、アンプ部基板の1枚目をNo.1、2枚目をNo.2としてD2を交換してみたところ上記のようになった。出力トランジスタの電流の差は10%、D2とD3のVT差は5mVとなった。これ以上はUF2010を沢山買って実機選別しなきゃならない。初歩のラジオの回路にバイアス電流調整用のボリュームが入っていたのはそういうわけだったんだ。