以前からアルミシャーシ(弁当箱)に半導体をネジ止めした時に許される最大の発熱量は実使用上どのくらいなのか疑問に思っていた。そこで試しに計算してみることにした。ついでにヒートシンクの場合、単体でも計算してみた。
室温が30℃の時におけるシャーシ内の温度をTa=50℃とする。また、半導体のジャンクション温度Tjは一般的に最大値の70%をワーストとするらしい。
Tj=150*0.7=105℃
半導体と放熱板間の熱抵抗(シリコンラバーシート)は2〜3℃/Wのようなので、ワースト3℃/Wとする。
ここで私が以前使用したことのあるアルミ弁当箱を例にとって計算する。半導体をシャーシにシリコンラバーシートを介してネジで止めたとする。
奥澤O-46 W250×D160×H50 t1.5、面積は400+250+160=810cm2、箱型になっているけど無視する。 ここのWebに載っているグラフを参考にさせて頂くと、熱抵抗は大体2.5℃/Wであることがわかる。
半導体の発熱量をQ(W)とする。
105-50-3=2.5*Q Q=20.8W max
と算出された。そんなに食わせて大丈夫なのか?
その時のシャーシ温度は 2.5*20.8+50=102℃、合ってるかな?
こんなにシャーシが熱くなっていたら、うっかり手を触れようものならヤケドしてしまうし、中のパーツがかわいそう。
ここでおんにょ基準(笑)を導入する。シャーシ内の温度が50℃のときにシャーシ自体は最大60℃くらいであってほしいなあ。 シャーシの温度上昇は60-50=10℃。
10/2.5=4.0W max、こんなもんかなあ?
★ヒートシンク17P23L25の場合
周囲温度が50℃のときにヒートシンクの温度は最大70℃くらいであってほしいなあ(おんにょ基準)。
温度上昇は70-50=20℃
グラフより、半導体の発熱量は最大1.0W。ちょっと厳しすぎる?
では周囲温度が50℃のときにヒートシンクの温度は最大80℃くらいかな(おんにょ基準)。 温度上昇は80-50=30℃
グラフより、半導体の発熱量は最大1.6W。まあこんなもんかな。
★単体の場合
◎NJM317におけるTO-220Fパッケージの熱抵抗はデータシートより60℃/W
Tj=150℃、70%をワーストとすると150*0.7=105℃。
Ta=50℃とする。
105-50=55℃ 55/60=0.92W max
◎2SC4793におけるTO-220?パッケージの熱抵抗を62.5℃/Wとする
Tj=150℃、70%をワーストとすると150*0.7=105℃。
Ta=50℃とする。
105-50=55℃ 55/62.5=0.88W max
ちなみにTj=150℃、Ta=25℃とし、100%をワーストとして計算すると、 150-25=125℃ 125/62.5=2.0W max、この値はデータシートの値と一致する。
以上、まとめると半導体単体の場合は約0.9W、ヒートシンク17P23L25では1.0W〜1.6W、アルミ弁当箱では約4Wとなった。ただし単体の場合を除き、おんにょ基準(笑)を採用している。
まあこんなもん、と思っていれば良さそう。