おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6CH6/CV4055シングルアンプ・詳細な特性測定

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CV4055シングルアンプ2号機の詳細な特性を測定した。

 

評価における特性の測定はいわば健康診断で、気になるところを事前に見つけて改善するため。また、使用中に何か問題が生じた際に何がおかしいかを把握するためだ。

 

よくあるブログ記事に、組み立てました、鳴りました、いい音です、おしまい。というのをよく見るけど、それだけじゃダメだと思うんだよね。特に一から作った自作の場合は、どのように設計し組み立てて、その結果がどうなのか評価する必要があると思っている。

 

私のようにいちいちチマチマ測定している人はまずいないと思うけど、やはりそのへんはきっちりしておきたい。もちろんそれで音がわかるわけではないが、備忘録でもあるし残しておきたいと思う。

 

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まず始めに諸特性から。アンプ部の回路は1号機とほぼ同じだから再現性があるかどうか。残留ノイズは対策を行ったので0.2mV台に収まっている。

 

消費電力が1号機の32Wに比べて40.6Wと増えてしまった。おそらく電源トランスの損失によるものと思う。正常に動作しているにも関わらず1Aのヒューズが2回切れたので、現在は1.5Aのを入れている。

 

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周波数特性。左右チャンネルが良く揃っている。150KHzあたりにあるディップはUL接続によるものと推定。高域の落ちが少し早い感じ。これなら位相補正220pFは不要かもしれない。SP端子に0.22uFのコンデンサを接続し、10KHzの方形波観測で8Ωのダミーロードをオンオフしてみたが、リンギングが増えるものの発振には至らなかった。

 

位相特性を測定すれば発振に対する余裕度が調べられるが面倒なので、もし将来Analog Discoveryを導入した際には調べてみたいと思う。

 

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クロストーク特性。ノイズフロアが下がったので可聴域の特性が見えてきた。20Hz〜20KHzでは-57dBを確保。2KHzあたりから上の周波数でクロストークが悪化しているのは6N2Pの各ユニットを左右チャンネルで使用しているためと思われる。

 

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Lchの歪率特性。110Hzが悪めなのはコアサイズによるもの。弓なりカーブを描いていてプッシュプルアンプみたい。歪率5%での出力は100Hzがリミットして2.1Wだが、1KHz・10KHzでは2.6W出ている。+B電圧を上げてCV4055の電流を増やせば出力は増えるが、管が高温となり寿命が短くなるのでやらない。

 

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Lchに比べてRchは2次歪みが多めかな。歪率5%での出力は110Hzがリミットして2.1Wだが、1KHz・10KHzでは2.6W出ているのはLchと同じ。

 

健康診断結果は問題なし、回路修正が必要なところは現状では見つからなかった。 試聴も行っているので、駄耳による結果をすこし書いておく。

 

試聴当初はナニコレ?という感じであまり印象が無くこんなもんかな、と思った。でも次の日に試聴してみるとなぜか俄然良くなっている。本人の体調によるものなのか、耳が慣れたのかわからないが、エージングの効果を考えずにはいられない。

 

低音の量感があって中高域がクリアだから自分好みの音が出ている。澄み切った高音は特筆に値する。音場感も良く再生する。

 

ただ低音はプッシュプルアンプに比べて多めで1オクターブ上がったように感じるのは低域の歪みが増えるためか。聴いて気持よく感じるならそれでいいし、小音量で低音が豊かなのはニアフィールドリスニングにおいても必要な気がする。

 

低音の量感はスケール感に通じるところがある。プッシュプルアンプだと正しい低音が出ているせいか、小音量では不足しているように感じられることが多い。