春日無線では出力5WのシングルOPTにKA-5730とKA-54B57Tの2製品が販売されている。仕様はかなり似ていて、違いといえば1次最大重畳電流くらいしかない。そこで、何が違うのか比較してみることにした。
まずはじめに仕様比較。重量は微妙に違うけど、それ以外は1次最大重畳電流の違いしかない。
実測(24℃)の1次DCRはB-7KΩ間でKA-5730が324Ω、OUT-54B57が296Ωだった。KA-54B57TはOUT-54B57を合わせカバーに立てて入れたもので、中身は一緒。
KA-5730のインダクタンスを1次DC重畳電流有り無しで調べた。重畳電流は30.6mAで仕様の30mAをわずかに超えているけど気にしないことにする。50HzでのDC重畳でのインダクタンスは15.9Hとなった。
KA-5730のインピーダンス特性。DC重畳でのカーブがお椀型になったけど、何か測定ミスをしているのかもしれない。
KA-5730の0-8Ω間にダミー抵抗8Ωを接続した時の1次インピーダンス特性。400Hzでのインピーダンスは6.9KΩと、仕様に近い結果となった。
次にOUT-54B57のインダクタンスを1次DC重畳電流有り無しで調べた。50HzでのDC重畳でのインダクタンスは13.4Hとなった。KA-5730に比べインダクタンスは低めだが周波数での変化が少ない。
OUT-54B57のインピーダンス特性。今度は頂上のある三角形となった。
OUT-54B57の0-8Ω間にダミー抵抗8Ωを接続した時の1次インピーダンス特性。400Hzでのインピーダンスは6.4KΩと、仕様に比べすこし低め。
それぞれの比較を上記に示す。KA-5730のほうがインダクタンスが高め。
次にKA-5730をアンプに実装した時の周波数特性を参考に添付。これはEL32シングルアンプで、EL32をUL接続にしている。
OUT-54B57をアンプに実装した時の周波数特性を参考に添付。これはCV4055シングルアンプ1号機で、CV4055をUL接続にしている。
OUT-54B57のほうが高域が伸びているのに対し、KA-5730は低域寄りで高域の低下は早めとなっている。
どちらも周波数特性は素直だからNFBが安定してかかると思う。低域重視ならKA-5730、ワイドレンジを狙うならKA-54B57Tかなあ。
EL32シングルアンプの歪率特性を参考に添付。100Hzと10KHzのカーブが重なっているが、10KHzが悪めなのかどうかはわからない。
CV4055シングルアンプ1号機の歪率特性を参考に添付。100Hzだけ悪めなのはコアサイズによるものと思われる。
歪率特性の差は回路の違いもあるのではっきりとはわからない。