おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

VT-62シングルアンプの構想

SV811-10Aシングルアンプの設計をしていて、フトVT-62なんてなんてカワイイんだろうとおもってしまった(笑)。フィラメントは7.5V1.25Aだし、最大プレート電圧は600V。最大プレート損失は20Wしかない。ちなみにSV811-10Aはフィラメント6.3V4A、最大プレート電圧800V、最大プレート損失は65W。

 

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じつはVT-62(801A)を2本持っている。これは真空管アンプへの興味が復活した2004年頃、サンオーディオのSV-VT25Limitedのキットを買って組み立てた際の予備球として購入したもの。

 

そんなにタマ切れは無いとわかってからずっとそのままになっていた。光り物アンプは見ていて楽しいし、今後のアンプの製作予定に加えてもいいんではないかな?

 

VT-62に高電圧をかけるのは大変だ。しかもこのタマ、rpが5KΩもある。普通にA1級で設計したらOPTは14KΩなどの高インピーダンス、インダクタンスが高くないと低域のレベル低下が大きくなってしまう。爽やかな音色なのだが低音が足りないと言われる所以だろう。

 

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2015年12月現在、市販されているOPTを値段の高い順に表にしてみた。TANGOのFW-20-14SやハシモトのH-20-14Uを使ったらおそらくアンプ本体だけで15万円コースになってしまう。だんだん価格を下げてみるとソフトンのRW-40-9.5なんて安い部類に思えてくる。

 

KA-5070Sは2次4Ωに8Ωを接続して1次14KΩとして使うとインダクタンスは29Hのままとなる。でもこのトランスはデカイ。もっと価格を下げてみると間が無くてアンディクスのOPT-S14が10KΩで4,000円。イタズラするにはこれくらいが手頃ではないかなあ? DC重畳での10KΩインダクタンスが不明だけど、一般の7KΩOPTよりは高めに出ることが予想できる。

 

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801A(VT-62)のEp-Ip特性図に10KΩのロードラインを引いてみた。A2級で低電圧で使うことを想定している。動作点はEb=317V、Ip=28mA、Eg=-14Vでプレート損失Pp=8.9Wとなっている。VT-62の最大プレート損失は20Wだから軽い使用となる。

 

出力の計算をしてみる。VT-62をロードラインいっぱいに振ったとする。OPTの変圧比は√(10KΩ:8Ω)=35.4:1。プレート電圧は590V〜40Vなので(590-40)/2.828=194.5Vrmsとなる。これをOPTの2次側に直すと194.5/35.4=5.5V。出力は5.5^2/8=3.8W、OPTの損失を多めに見積もって15%とすると3.8*0.85=3.2Wと計算される。こんなもんかな?

 

動作点を317Vとしたのにはワケがあって、電源トランスをPMC-100Mと想定しているから。AC280VからDC350Vを作り、OPTの降圧と自己バイアス分を引くとこれくらいになる。

 

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VT-62のグリッド電圧は+35Vまで振っているが、この時のグリッド電流はデータシートより5mAくらい。このグリッド電流に耐えるドライブ段が必要になる。そこでSV811-10Aシングルアンプでやったようにカソードチョークを使ったカソードフォロアを考えてみる。

 

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ドライブ段には手持ちの6DN7を考えた。このタマは電圧増幅用と電力増幅用の三極管が2ユニット封入されたテレビの垂直発振出力管だ。電力増幅用ユニットをカソードフォロアに使う。

 

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ドライブ段と出力段の電圧配分を上記に示す。VT-62は自己バイアスとし、カソードチョークはGNDにしている。バイアス調整用に6DN7のグリッドに-C電圧を与えるようにする。

 

実はこの記事を書いた後にWELCOME製でT-4646Sという14KΩのハイインピーダンスシングルOPTがあることがわかった。2個セットで12,800円。インダクタンスは不明。

 

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Ep-Ip特性図に14KΩのロードラインを引いてみると、Eb=365V、Ip=25mA、Eg=-22Vで出力は3.4Wと計算できる。10KΩロードラインでの出力3.2Wに比べ、わずか0.2Wしか増えない。

 

電源トランスは+B用にAC320Vのものが必要となり、ノグチのPMC-150Mが良さそう。でも0.2Wの出力増のために電源トランスで2,300円、OPTで4,800円も増えてしまうのはなんだかなあ、と思う。

 

つづく、かも?