おんにょの真空管オーディオ

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古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6T9 CSPPアンプ・初段フィッティングと特性評価

6T9 CSPPアンプの初段フィッティングを行う。LTspiceと2SK117のロードラインを引いて検討する。

 

負荷抵抗を82KΩ、電流を5.4mAとし、2SK117の共通ソースに100Ω半固定を入れて電流帰還で利得を減らすことにした。

 

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LTspiceのシミュレーション回路図。R7とR8は共通ソース抵抗で、C3とC4は実測の高域時定数に合わせ込んだ値を使用。

 

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出力波形のシミュレーション結果。値は247Vrmsで、片側では123.5Vrmsとなり、出力管をフルスイングするのに必要な電圧88.3Vrmsを十分クリアしている。

 

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利得は54.3dBとなった。当初のシミュレーション結果では61dBだったから6.7dB減となり、バラックでの利得70.9倍の-6.7dBでは32.8倍まで減る計算となる。また、高域時定数は36KHzから55KHzに伸びた。

 

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変更後の回路図。+B1の電流が7.6mAから10.8mAに増えたので、R23の値を減らす必要があるかもしれない。

 

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回路変更後の諸特性を上記に示す。利得は29.6倍となり、実用的な値まで下がった。

 

NFBをかけてみることにし、6dB程度ということで値を探ったら2KΩ(R17)となった。総合利得は14.7倍となった。

 

無帰還での高域時定数は当初の36KHzから41KHzとなり、NFBをかけると95KHzまで伸びた。DFは10.5、残留ノイズはバラックにもかかわらず0.09mVまで下がった。

 

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周波数特性。150KHz〜170KHzに少しだけ停滞?が見られるものの、素直に落ちている。初段カスコードにμ=100の6T9の三極部を使用したが、使い方次第では高域時定数が伸びることがわかった。

 

NFBをかけたら肩のところが膨らんだようにみえる。おそらく初段と出力段の高域時定数が近いんじゃないのかな?

 

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歪率特性。歪率5%での出力は11Wとなった。片チャンネルのみの回路で+B電圧が高めなので、ステレオにしたらもっと低くなるだろう。

 

不思議なのは1W付近でいったん歪率が下がっていることで、回路の特性なのか、あるいは6T9ペアの相性なのかよくわからない。

 

それにしても、このところ半年くらいシングルアンプしかやっていなかったら、プッシュプルアンプの歪率が0.0何%当たり前の世界に入ってなにこれ!?だねえ。しみじみ。

 

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