3HA5シングルアンプは残留ノイズが0.3mV程度であまり低くない。その原因の1つとして+Bの残留リプルが影響していることがわかっている。
回路図を上記に示す。赤矢印で示したコンデンサにより+Bのリプルが3HA5のカソードを揺らしてしまう。カソードを1000uFのコンデンサでGNDにバイパスすると、残留ノイズが0.1mV程度になることがわかっている。また、3HA5はμ=72と高いため、+Bの残留リプルの影響を受けやすい。
これはLTspiceで作成した現状の電源部の回路図。
VINにリプルが多く含まれているため線が太く見えている。
VOUTを拡大していくと残留リプルが見えてくる。
残留リプルを減らすためにMOSFETのゲートに入力するCRフィルタを2段にしてみたがあまり改善しない。そこでFETリプルフィルタに入力される残留リプルを減らせば、VOUT自体に含まれるリプルも減るのではないかと考えた。
チョークによるπ型フィルタを使ってみよう。チョークには東栄のCH-1150、1H150mA(DCR27Ω)を採用してみる。これはW60mm×D34mm×H38mmで170gの小型のもの。
再びLTspiceの回路図を作成した。π型フィルタは47uF-1H-47uF、FETのゲートには43K-47uF-39K-47uFの2段フィルタとした。
VIN自体にリプルが少ないために細い線となっている。
VOUTを拡大しても残留リプルが殆ど見えない。
電解コンデンサは東信工業の250V47uFなら千石電商で1個60円で4個240円、チョークは1,000円以下で買えると思うから値段的にはリーズナブル。ただチョークを置くためのスペースが必要だ。