動作に問題なさそうなのでNFBをかけることにし、値を探ったら1.6KΩで6dBとなった。抵抗1本で済ませたいため、NFB抵抗は1.5KΩとした。
私が製作するアンプにはNFBをかけているが、それはNFBありきの回路設計だからで、深いNFBをかけないかぎり音質に影響は無いという考えで行っている。NFBをかけるのは特性を整えるためで、NFBが嫌いな人は拙ブログには近づかないだろうからそれで良いのだ。
特性を測定した結果を上記に示す。NFB量は6.5dBとなった。周波数特性は低域にわずかに盛り上がりが見られる。これはOPTのインダクタンスとショートループのコンデンサの共振によるもの。高域は-3dB点が60KHzまで伸びた。
出力は2.9Wと望外の値が得られた。カソードフォロアのおかげだ。残留ノイズは0.3mV前後だが、45を軽くデコピンすると値が増えて0.5mV程度になってしまう。フィラメントの中点がずれるのかなあ?
周波数特性。高域は150KHzまでなだらかに落ちており、拙VT-62シングルアンプで見られた60KHz付近でのディップは今回は見られない。
クロストーク特性。20Hz〜20KHzでは-68dB以下となっている。低域での特性悪化は見られない。
Lchの歪率特性。1KHzで最低歪率が0.06%まで下がっているのは初段と出力段で歪みの打ち消しが起きているのかもしれない。1KHzでの歪率5%の出力は3.1Wとなっている。10KHzより110Hzのほうが低歪みなのは珍しい傾向。
Rchの歪率特性。こちらは3本揃って弓なりカーブを描いている。1KHzでの歪率5%の出力は3.1Wとなっている。
特性を調べた限りでは問題なく、試聴結果も問題なければ変更無しで完成まで行ってしまいそうだ。
45を落とし込みにしたほうが良かったかもしれない。ゴム足の金色が派手な気がするので銀色のRS-60SかTC-3Sに替えてもいいかな。
カソードチョークドライブの欠点として、電源オン後からドライブ管がヒートアップするまでSPからジーノイズが出る。45がすぐ立ち上がるのに対しドライブ管は時間がかかるため、45のグリッドにチョークが接続された状態となり、チョークがノイズを拾ってしまう。ドライブ管がヒートアップすれば低インピーダンスとなるのでノイズは出なくなる。
このアンプの場合、45のフィラメント電源に1.8Ωの直列抵抗が入っているせいか45のフィラメントが赤熱するまでに3秒くらいかかる。一方6DN7は7秒くらいからヒートアップするのでノイズが出るのは4秒間くらい。SPから聞こえるノイズも耳を近づけないとわからない。
抜本的な改善としては+Bに傍熱整流管を使い、整流管がヒートアップするまで+Bがかからないようにする方法が良いと思われる。拙45シングルアンプでは整流管のヒーター電源が無いのでヒータートランスを使うしかなく不採用とした。
3階の自室にて試聴する。澄み切った高音、低音も出ている。女性ボーカルもしっとり優しい。もうこれで十分じゃないか。