真空管アンプを製作する時に手持ちの電源トランスの+B巻線電圧が高すぎることがあるよね。対策としては姉妹拙ブログの記事に書いたんだけど、小型ACトランスを用意し、電源トランスの+B端子にその2次側を逆相でつなぐ方法がある。今回は実験で実際どうなのか確かめることにした。
実験回路を上記に示す。正相につなぐと電圧が高くなり、逆相につなぐと電圧が低くなるはず。ちなみにLTspiceによるシミュレーションを行っている。
実験に用いる電源トランス。東栄変成器のJ1205とZT-03ES。J1205は2次側0-12Vを、ZT-03ESは2次側をAC100Vにつなぎ、1次側0-200Vを使用する。
負荷抵抗として組んだバラック。2KΩ×4個と1.2KΩが2個で、全部直列にして10.4KΩ(実測10.5KΩ)。
正相の場合。R1の電圧はそれぞれが足されてAC214Vになっている。抵抗R1には17.1mA流れている。
アナログテスターの表示が見にくいのでテスターだけを撮影。J1205の電圧はAC13.4Vくらい。
逆相の場合。R1の電圧はZT-03ESの電圧より低くなり、AC187Vになっている。抵抗R1には15.0mA流れている。
アナログテスターの表示が見にくいのでテスターだけを撮影。J1205の電圧はAC13.5Vくらい。
抵抗R1にオシロのプローブを接続して波形を観測。R1の両端だと電圧が高すぎるので2KΩ両端の波形を見た。すごい歪んだ波形。
1次側AC100Vの波形。何だ元々歪んでいるじゃないか。というかAC100Vの波形ってこんなに汚いんだ。なお、この波形を見る時はオシロのプローブのミノムシクリップ側を必ずAC100Vの接地側にすること。逆にすると感電するからご注意を!私は検電ドライバーで確認した。
参考にJ1205の1次側に1Ωの抵抗を入れて波形観測。もう何がなんだか。
参考にZT-03ESの2次側に1Ωの抵抗を入れて波形観測。うーん、似ているといえば似ているような。
実験結果を表にしてみた。正相でも逆相でもそれぞれの電源トランスの電圧は変わらず、抵抗R1の電圧が変化していることがわかる。
ちなみに電源トランスの温度は、室温17℃で実験開始時はJ1205が20℃、ZT-03ESが18℃だった。逆相の状態で1時間放置、J1205が24℃、ZT-03ESが22℃となった。異常な温度上昇は起きていない。
今回は電圧を上げ下げするのにトランスを1個用意したが、電源トランスの2次巻線が余っていたら正相につなげば電圧が高くなり、逆相につなげば電圧が低くなる。
今回はブリッジ整流ないし半波整流を前提にしているけど、両波整流だったらどうするか。独立した2次側が2巻線のトランスを用意し上記のように接続すれば良い。
実験は叩けばホコリが出るレベルだし突っ込みどころは多いと思う。でも私はこのような実験は大切だと考えている。
以上のことをふまえて追試する場合は自己責任の上でお願いします。もし問題が起きても責任は負えません。