4P1Sシングルアンプの本番機が完成した。
当初は手持ちのパーツを活用して真空管アンプを製作しようと考えた。真空管には4P1S、電源トランスは解体したアンプの使い回しで春日無線に特注したH27-02181、OPTはPMF-6WS、6N23Pのカソードチョークドライブとした。試作段階では電源トランスの唸りが気になり結局ゼネラルトランスのPMC-95Mに変更した。
本当はOPTにアンディクス・オーディオのOPT-S14、カソードチョークにゼネラルトランスのPMC-80Hを使えば4P1Sに最適な回路となるのだが、トランス類を新規購入するのは当初の目的から外れてしまう。
レイアウト設計ではシンメトリー案とオーソドックス案を考えたがオーソドックス案に決めた。唯一の心残りは電源トランスとLchのカソードチョークが接近していて誘導ハムを拾ってしまっていること。本番機の時に離れた場所に変更すれば良かったが、その場所が見つからなかった。
電源をオンすると数秒間、6N23Pがヒートアップする前にハムノイズが出る。これは電源トランスからLchのカソードチョークへの誘導ハムで、短時間だから対策をしていない。
本番機の製作では試作機を解体しシャーシと裏蓋を塗装した。平ラグに組んだフィラメント電源、+B電源、アンプ部は試作機をほぼそのまま再利用した。
本番機の回路を上記に示す。初段は2SK30Aと6N23Pによるカスコード、ドライブ段は6N23Pによるカソードチョーク、出力段は4P1Sの3結でグリッドを直結にしている。A2級でグリッドをプラスに振っている。
諸特性を上記に示す。出力は2.5Wで110Hzがリミットしており、1kHzでは2.8〜2.9Wとなっている。周波数特性は超低域で小ピークが見られるが、小音量でのバスブーストになるのではと思って、敢えてそのままにしてある。NFBは5.2dBと軽くかけている。詳細は特性はこちら。
いつものようにいろんな角度からブツ撮りをしてみた。
ヒータートランスはバンドカバーを外して上下をひっくり返せば配線が見えなくなるので良かったかもしれない。ショートリングを外して新たに巻き直し、再塗装しなければならないので面倒臭い。
4P1Sは袴から接着剤がはみ出したりしているので4P1Lのほうが見栄えがする。6N23Pと4P1Lでロシア球で統一できるし。
シャーシサイドはいつものようにアクリルパネルをボンドで貼り付けた。
電源トランスとOPTは高さが4mmしか違わないので、シャーシをひっくり返しても安定している。
シャーシ内部。電源トランスとLchのカソードチョークが近すぎる。どこなら逃げられるかというと愚かな私の頭では思い付かなかった。シンメトリー案ならシャーシの両サイドまで遠ざけることができる。
反対側から見たところ。
駄耳の私による試聴結果は、一言で言い表すのならキレがあるのにツヤが感じられる、かな。小音量で聴いていてもスケール感は充分あるし、音場感が良く再生される。
なお4P1Sの代わりに同特性の4P1Lが使える。電圧増幅段には6N23Pの代わりに6DJ8やECC88が使用可能だ。おそらく電圧増幅段のタマを替えることにより音色の違いを楽しめると思う。