TU-894(改)のパラレルフィード実験の結果が良かったので、同じOPTとチョークコイルの組み合わせで他の真空管でもテストしてみようと考えた。そこで以前6DN7シングルアンプの回路設計を行ったことがあったので、通常の場合とパラレルフィードで比べてみることにする。
通常の回路図を上記に示す。OPTはT-4646Sで出力容量は15W。バラックでパラメータフィッティングをやったので、回路設計当初とは少々ディメンジョンが異なっている。
パラレルフィードの回路図を上記に示す。OPTはKA-8-54P2でチョークコイルはCH-3045Z(30H45mA)。T-4646Sは1次インピーダンスを7kΩで使うが、KA-8-54P2では8kΩのままとした。
バラックでテスト中。
+B電源はVT-62シングルアンプのを拝借。+Bは342Vで10V位低くなるけど。
諸特性を上記に示す。結果から言うと通常の回路に比べパラレルフィードは高域が伸び、出力が増えている。 通常の回路の周波数特性。T-4646Sって高域のアバレが凄い。PとB及び2次側を逆にして(逆相)周波数特性を調べてみたけどやっぱり暴れている。T-4646Sを使ったアンプってみんなこうなのだろうか。
パラレルフィードの回路の周波数特性。130kHzにディップ、160kHzにピークが見られるが、P1とP2及び2次側を逆にして(逆相)周波数特性を調べてみたら消えてなだらかになった。これなら申し分ない。
KA-8-54P2は2個あるので周波数特性を測定。こちらも同様になった。P1をプレート側、P2をカソード側につなげばなだらかな特性になる。
通常の回路の歪率特性。15WのOPTだから110Hzでも悪化せずほぼ同じ曲線を描いている。5%歪みでの出力は110Hzがリミットして1.5Wだが、1kHzでは2.0W出ている。
パラレルフィードの回路の歪率特性。10WのOPTだから110Hzでも悪化していない。こちらも同様な特性だが全般に低歪みだ。5%歪みでの出力は1kHzでは2.4W出ている。
パラレルフィードの周波数歪率特性。低い周波数まで歪率の悪化が少ないことがわかる。
パラレルフィードはOPTにDCを流さないのでインダクタンスの大きいプッシュプル用のOPTを使用でき、低域特性の改善に寄与する。ただシングルOPTでも出力容量の大きいものを使えば同様の特性が得られる。
6DN7シングルアンプをパラレルフィード仕様で仕立ててみようかなあ?