おんにょの真空管オーディオ

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古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

ヒーター電源とフィラメント電源を共用

4P1S_single.jpg 姉妹拙ブログに書いた記事「ヒーター電源とフィラメント電源を共用」だけど、実際に実験で確かめてみることにした。実験には4P1Sシングルアンプを使った。

 

4P1S_single_schematic.gif 4P1Sシングルアンプの回路図を上記に示す。6N23Pのヒーターには電源トランスとは別にヒータートランスを使用している。

 

4P1S_single_experiment.gif ゼネラルトランスのPMC-95Mはそれぞれ6.3V2Aと6.3V1Aのヒーター端子があるので、6.3V2Aに6N23Pのヒーターを接続した。6N23Pのヒーター定格は6.3V0.31A。

 

この実験で変化があるのは4P1Sのフィラメント電圧、6N23Pのヒーター電圧、残留ノイズ、クロストーク特性くらいだろうか。

 

4P1S_single_experiment1.gif 接続を変更した後の実測の電圧を赤字で示す。拙宅はAC100Vが101〜103V程度あるので、100Vに換算してある。6N23Pのヒーター電圧は問題ないが、4P1Sのフィラメント電圧がすこし低めとなった。これは予想の範囲なので5.1Ω2Wの抵抗値を減らせば問題ない。

 

残留ノイズは現状でLch 0.3mV、Rch 0.2mV。接続変更後はLch 0.23mV、Rch 0.11mVとなった。値が下がっているのは6N23PのヒーターバイアスがGNDレベルから4P1Sのカソード電圧(26V程度)になったことによるものと思われる。

 

4P1S_single_crosstalk1.gif これは現状のクロストーク特性。20Hz〜20kHzでは-69dB以下となっている。

 

4P1S_single_crosstalk2.gif 接続を変更した後のクロストーク特性。20Hz〜20kHzでは-69dB以下で変わらなかった。ただ高域ですこしクロストークが悪化しているのがわかるが問題ないレベル。

 

結論を言えば残留ノイズやクロストーク特性に問題はなく、ヒーター電源とフィラメント電源を1つの電源トランスの端子から共用しても大丈夫のようだ。つまり4P1Sシングルアンプでは別個にヒータートランスを用意する必要はなかったということになる。

 

4P1S_single_experiment2.gif 4P1Sのフィラメント定格は4.2V0.325A(2.1V0.65A)で、ブリッジ整流を6割と考えると0.325÷0.6=0.542A、6N23Pは0.31Aだから0.542+0.31=0.852Aとなり、6.3V1Aのヒーター端子から供給できる。だから4P1Sの1本のフィラメント電源と6N23Pの1本のヒーターを電源トランスの6.3V端子から個々に供給しても構わない。