TU-894(改)のパラレルフィード実験の結果が良かったので、同じOPTとチョークコイルの組み合わせでアンプを製作することにした。使用する真空管には以前回路設計したことのある6DN7を選んでみた。
回路図を上記に示す。OPTはKA-8-54P2でチョークコイルはCH-3045Z。AC的にはOPTとチョークが並列になり23H程度となる。チョークのインダクタンスがもっと欲しいが、市販品には適当なものが見つからなかった。
6DN7のカソードバイパスコンデンサC2の対極がGNDではなく+Bに接続されているが、試聴結果が良かったのであえてそのようにした。
電源トランスの160V-0V-160Vタップを使っているが、無負荷でもAC320V程度しかなくAC302V位に下がっている。ブリッジ整流での最大電流63mAを2mA弱オーバーしているためか、かなり熱くなる(室温22℃で50℃くらい)。
諸特性を上記に示す。歪率5%での出力は2.3W。周波数特性の高域は160kHz〜169kHzと非常に伸びている。位相補正はしていない。本番機の+B平滑用に1Hのチョークを追加して残留ノイズが0.1mV前半まで下がった。詳細な特性はこちら。
シャーシはゼネラルトランスのSC-35でW250mm×D150mm×H40mm、t1.2mm。これには裏蓋を止めるネジ穴が無いのでカレーナットを使った。塗装はダークグレーマイカメタリックとした。 いつものようにブツ撮りをしてみた。
OPTはW60mm×D60mm×H60mmのトランスケースに収まっている。電源トランスとOPTのトランスケースの高さを揃えることでひっくり返しても安定している。
電源トランスを前方中央に置き、OPTを後方左右にシンメトリー配置とした。パラレルフィードのチョークコイルを電源トランスの後方に置いたので、リスニングポイントからは殆ど見えない。
1つのシャーシにトランスが6個載っている。1個はシャーシ内に配置しているので上からは見えない。
シャーシサイドにはアクリルパネルを貼り付けた。
シンメトリー配置なのでどちらから見ても同じ。
シャーシ内部。平ラグを+B電源部とアンプ部に分けて配置し殆どのパーツを乗せている。こうすることで試作機から本番機への製作を容易としている。+B平滑用のチョークコイルを中央に配置したら随分と目立つ。
私の駄耳での試聴結果は、打楽器が生々しく女性ボーカルの声の艶がよく乗る。低音がドカンと出てくるのはパラレルフィードの特徴と言えるようだ。傍熱3極管によるシングルアンプは直熱3極管とはまた違った音の魅力があるように思われる。