300Bシングルアンプの次は6Z-P1シングルアンプである。こんなラジオ球で遊ぶなんて殆どの真空管アンプビルダーはしないと思う。
私は6F6系の真空管の音色が自分の好みに合うことがわかってきた。42シングルアンプを2台、47シングルアンプを1台製作した。6Z-P1は6F6同様、初期の5極管なので、もしかしたら好みに合うかもという確信がある。
6Z-P1のヒーターは6.3V0.35A。Ep maxは250V。Eg2 maxは180V。Pp maxは4.0Wとなっているようだ。ピン接続は42と同じでソケットはUZ。
42シングルアンプの+Bが高いので電源トランスの140V-0-140Vタップを100V-0-100Vに変更する。カソード抵抗は3.3kΩから4.3kΩとした。変更してテストしてみるとオシロではカットオフ側が先にクリップする。そこでカソード抵抗を3.5kΩとしたところ、ほぼ同時にクリップするようになった。
回路図を上記に示す。赤字が実測の電圧と電流。青の部分が42シングルアンプから変更したところ。
特性を調べてみた。出力は1kHzで1Wも出ることがわかった。ミニワッターとしては十分な値だ。NFB抵抗は替えていないが利得は18倍、DFは4.0〜4.4ある。
周波数特性。42シングルアンプより低域の落ち込みが早いのは6Z-P1のrpが高いせい。3結の特性図より読み取ったrpは4kΩだった。
まだクリップはカットオフのほうが早めなので、パラレルフィードとしマッチングトランスにKA-8-54P2を8kΩ:8Ωで使い30Hのチョークとすればもっと低域が充実するのではないか。
3階の自室で聴いてみた。6Z-P1にOPTがFC-12Sというのは大げさな気がするが実験なので問題ない。なんかもうズバリ自分の好きな音色だったので驚いた。案外低音も出ている。爽やかな音質で音場の見通しが良い。嘘みたいだが小音量では拙300Bシングルアンプを凌ぐかもしれない。これは300Bシングルアンプの音色が中庸なのに比べ、6Z-P1色に着色された風景画を鑑賞している感じ。繊細で粒立ちが良い。