おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6N6Pプッシュプルアンプの構想

先日の拙記事で少しだけ触れたのだが、6N6Pプッシュプルアンプを製作しようと思う。じつは以前、製作したことがあったのだが、6DJ8系のタマに替えてみたら試聴結果が良かったので変更してしまったのだった。

 

電源トランスとOPTは入手済み。OPTはARITO's Audio LabのDE-8K2Wで、株式会社奥澤の特注アルミシャーシ(W200mm×D130mm×H40mm)に組む予定。

回路は基本的に6N6P全段差動プッシュプル・ミニワッター2014とする。初段は2SK117BLの差動、2SC1815GRのエミッタフォロアで6N6Pのグリッドをダイレクトにドライブする。

6N6PのEp-Ip特性図にロードラインを引いてみた。差動なのでOPTの1次インピーダンスの半分の4kΩで引く。軽いA2級ドライブで、グリッドを+1Vまでドライブできるとした。動作点はEb=157V、Ip=18.8mA、Eg=-5.4Vと読めるが-4.4V程度のようだ。プレート損失は3Wで、最大プレート損失4Wの75%となっている。

 

最大出力Poは、Ip=18.8(mA)、RL=8(KΩ)で
 Po=Ip^2*RL/2000=(18.8)^2*8/2000=1.4W

 

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電源部をLTspiceでシミュレーションしてみた。C2は100μFで、パーツ入手の都合でそうなっている。6N6Pのヒートアップタイムがどれくらいなのかデータシートに記載が無いのでわからないが、+Bは12秒くらいで設計した電圧となるようにした。

シミュレーション結果。定常状態でのVinの下限とnode1の電位差は6.5Vで、AC100Vの変動があるためギリギリといったところ。-Cは-2.2Vに減らしてある。詳細は後述する。

回路図を上記に示す。初段差動の定電流源にはLM334Zを使う。正の温度依存性があるが、シャーシ内が温まってしまえば恒温槽となるので気にしない。パワーアンプに使うぶんにはノイズは無視できる(と思っている)。LM334Zは電位差が1Vあれば定電流動作をする。

初段アンプ部をLTspiceでシミュレーションしてみた。

ほぼフルスイングした場合、node1は0.19Vを下回ることはなく、定電流源としては2.39Vの電位差があるので正常に動作するはず。

なお2SC4793のコレクタ側には抵抗を入れていない。これは2SC4793をシャーシに取り付けて放熱するため、その抵抗は不要と判断した。

アンプ部については、DACのボリュームで音量調節するので入力ボリュームを省いた。トランス式DACなのでDC漏れの心配は無く、入力にコンデンサは入れていない。

OPTの1次DCRを測定したら2個とも橙~茶が227Ω、橙~緑が225Ωだった。室温10℃くらいの測定なので、動作時にはもっと抵抗値が上がるかもしれない。この1次DCRによる降圧は4.2~4.3Vとなる。6N6Pのプレート電圧を178Vにするため+Bを182Vとした。オリジナルより2V、+B電圧を上げなければならないので、そのぶん-Cを-2.2Vと減らしたというわけ。

直結回路なので、+B1の電圧が6N6Pのカソード電圧に影響する。6N6Pのグリッドバイアス電圧は-4.4Vで設計したが、実際はバラツキがあり-5V位になるようだ。その場合はツェナーD6やD7を低めのものと交換するかもしれない。

6N6Pのカソードに入れたコンデンサC1は、高域でDEPPとなるようにしようというもので、音色のチューニングとなる。差動プッシュプルは優等生的な音色で色付けがない。DEPPでは女性ボーカルが魅力的なため、わざとそうしている。とはいえ、20kHzで0.01μFのインピーダンスは795.8Ωとなり、カソード抵抗R13の560Ω//795.8Ω=328.7Ωだから差動アンプが支配的なはず。

まだパーツの入手の都合でパラメータを変更するかもしれないが、現状ではこんな感じになっている。