VT-62シングルアンプ(左)と新作のVT-25シングルアンプ(右)を比較試聴してみた。VT-62シングルアンプは6DN7の直結カソードチョークドライブ、VT-25シングルアンプは6DN7の直結カソードフォロアドライブだ。OPTは同じアンディクス・オーディオのOPT-S14。
アンプを取り替えながら同じ数曲を流して聴き比べてみると、結論から言えばVT-62とVT-25の聴き比べとなった。VT-25は中高域が良く出て繊細感がある。VT-62は中庸でオールマイティといったところか。これはVT-25シングルアンプにVT-62を挿してみた時と同じ印象。意外にVT-25シングルアンプで低音が出ていると感じることがあった。
出力を欲張らなければVT-25の2Wでいいかなあ、という感じ。私の駄耳ではカソードチョークドライブとカソードフォロアに音色の違いは見い出せなかった。
話題は変わって、VT-25シングルアンプの歪率特性は1kHzや10kHzに比べ、110Hzの曲線が悪め。何が原因だろうか。
歪率カーブを測定するのは大変なので、0.01Wと0.1Wで調べてみた。1kHzや10kHzは電圧増幅段と出力段で歪みの打ち消しが起きていると考えられるので、2SK30A-Yの|Yfs|が変わったらどうなるか。
(1)は現状で、2SK30A-YはId=1.5mAでのVgs=-0.407Vだった。
(2)はVgs=-0.477VのFETを仮付けして測定。結果は110Hzに現状との違いは見られなかった。
無作為に他の2SK30A-Yを試してみたが傾向は同じ。2SK30A-Yの|Yfs|が110Hzの歪率に影響しているとは考えにくい。
(3)はVT-62に挿し替えてカソード抵抗を1421Ωから993Ωに変更、プレート電流を29.1mAまで増やしてみた。110Hzの歪率が低下しているのがわかる。おそらくVT-62で内部抵抗が低くなった為と思われる。
VT-25のような内部抵抗が高い真空管ではOPTのインダクタンスが多いほうが有利。結果から考えると、OPTのインダクタンスが増えれば110Hzの歪率が改善すると予想する。