42シングルアンプの初段とドライブ段間、ドライブ段と出力段間の各カップリングコンデンサの値を変更し、スタガー比をほぼ1とした実験を行ったので紹介しよう。それぞれのカップリングコンデンサの値を0.01μF、0.022μFとしてある。
初段の低域時定数 flv1
76のrpとRLの並列値に次段グリッド抵抗を加えた抵抗値とカップリングコンデンサの値からflv1が決まる。
76のrpは14KΩ、RLは62KΩ、次段76のグリッド抵抗は470KΩ 14KΩ//62KΩ+470KΩ=481KΩ
flv1=159/(481KΩ*0.01uF)=33.1Hz
ドライブ段の低域時定数 flv2
76のrpとRLの並列値に次段グリッド抵抗を加えた抵抗値とカップリングコンデンサの値からflv2が決まる。
76のrpは14KΩ、RLは47KΩ、次段76のグリッド抵抗は220KΩ
14KΩ//47KΩ+220KΩ=231KΩ
flv2=159/(231KΩ*0.022uF)=31.3Hz
低域のスタガー比は flv1:flv2=0.95となる。
周波数特性を調べて比較したのが下の図だ。リファレンスのカップリングコンデンサの値は0.33μF、0.68μF。
実験結果は50Hz付近に+0.74dBの盛り上がりができた。カップリングコンデンサの値が小さいので30Hz以下は急降下だ。
この周波数特性をふまえて音を聴いたらどうなったか。ひとことで言うと「古風な音」だ。低域が盛り上がっているのでジャズを聴くと低音の迫力が増す。浅野氏は 魅惑の真空管アンプ の中で「いわゆる音にリキをつけるための手法として利用した」と書いているがそのとおりだ。
実験にはメタライズドポリエステルコンデンサの安価なものを使った。下の写真の赤茶色のやつだ。カップリングコンデンサ用の用途としては、0.01μFとか0.022μF等の小容量のものは普通使われないから見つからない。いわば真空管ラジオ用だろう。と思って検索してみたらビンテージコンデンサがそれに当たるのか。
どうもこのコンデンサ、ピアノのアタック音が濁って聞こえるので合わないようだ。低音の迫力は魅力的なんだけどね。
クロスオーバー周波数?を1オクターブ下げたら20Hzまでフラットにならないかしらん??? 0.022μFと0.047μFあたりどうだろうか。これくらいだったらASCの製品がある。いたずらはさらに続く?
(2008.12.6追記)
というわけで、カップリングコンデンサを0.022μFと0.047μFにして周波数特性を測定してみたのが下の図だ。黄緑の線がそう。40Hzあたりに+0.36dBの盛り上がりがあるが、だいぶフラットな特性になった。25Hzで0dBを切るのはかなり良いと言えるだろう。