2006年10月に完成したものの、2度の登場の後長らくしまわれることになってしまったEL32差動ppアンプ。
再度引っ張り出してきて試聴している。このアンプを作った後EL32シングルアンプを作り、私の好きなジャンルの音楽が楽しく聞こえることに感動し、EL32パラシングルアンプを作って常用機となっている。
私が「平熱の真空管アンプ」と名付けたEL32差動ppアンプ、何が問題なのか。差動ppアンプは静けさが特徴だ。でも音楽を聴いていてもその情熱が感じられないことにある。
2006年11月17日にmixiへ書いた日記をブログに引用しよう。
「どうも全段差動アンプは音楽 を上品というか、要するに冷めて演奏するような感じがあり、 クラシックには良いのですが、アンデス音楽のように、わくわくして踊り出してしまうような感じにはどうしても聞こえ にくいのです。 」
EL32パラシングルアンプと再度比較してみると、定位感や低域の描写力、細かい音が良く表現されるところはEL32差動ppアンプのほうが上だ。でも長く聴き続けると冷ややかな感じがどうしても気になってしまう。
とあるブログに電源フィルター部のコンデンサ増量改造が載っていた。「これは結構効きます」に興味を覚え、試してみようと思った。これくらいの改造なら、大した手間も費用もかからないで済む。
秋葉原で180μF400Vの電解コンデンサを2個買ってきた。500円だった。これをどこに追加しようか。ダイオード直後は電源ON時の突入電流が心配なので、フィルターの出口につけることにしよう。そのほうが音質の変化が大きいようだ。もともと100μFのコンデンサがついているから、100+180x2=460μFとなる。回路図は以下のとおり。赤枠で囲んだところが今回追加したコンデンサ。
電解コンデンサは、立ラグの空きピンを利用して追加した。OPTのB端子に+Bが来ているので、LRにそれぞれコンデンサを振り分けた。内部の画像は以下のとおり。赤い矢印がそれだ。
さて結果はどうなったか。音量がアップしたように聞こえる。低域の解像度、表現力が向上した感じだ。気になっている冷ややかさはいくぶん薄らいだようだ。まだ改造後数時間なので、もっと長く試聴してみないと判断できない。
コンデンサ増量で電源ON/OFF時に何か問題が起こらないかと心配したが、現状特に問題は無いようだ。
回路的に考えると、信号ループは+B電源部のコンデンサを通らないので全く関係ない。また、基本的にA級アンプなので、信号により電源電圧が変動して問題になることは無い。さらに、通常聴いている音量は出力0.5Wを越えないのでレギュレーションの影響は極小だ。即ち音質の変化はありえないことになる。
果たして現用のEL32パラシングルアンプを駆逐するか、それともまた長くしまわれることになってしまうのか。まだわからないがとりあえず使い続けてみようと思う。
(2009.5.15追記)
昨日から引き続き試聴を続けているが、平熱から微熱に変わったかもしれない。でもアンプを交換しつつ試聴しているわけではないから、気のせいかもしれない。
本アンプのせいかどうか分からないが、ごくたまに左チャンネルからプチッという雑音が出ることがある。また、アンプの電源スイッチをOFFすると、左チャンネルからかなりの確率でプチッという音が出ることもある。コンデンサを追加する前は出なかったから原因を推定すると、コンデンサとAC1次配線が接近していることが考えられる。(シャーシ内部画像参照)
コンデンサの引っ越し先を考える必要がある。でもこれが原因でなかったら、引っ越しは無駄になるだろう。
(2009.5.16追記)
寝かせて配置していたコンデンサを縦置きに替えた。これならAC1次配線と1cm程度離れるので良いだろう。電源ON/OFFをくり返してみたが、ノイズがわずかに出るか出ないか、といった程度まで減った。画像は後日掲載予定。
いきなり左chからボツンと音がして音が出なくなってしまった。真空管を叩いてみたら左側の6SN7GTで雑音が出る。左右の6SN7GTを入れ替えてみたら右chから音が出なくなった。どうやら1本の6SN7GTが故障したようだ。予備の球と入れ替えて修理完了。
もしかしたらプチッというノイズの原因はこいつだったのかもしれない。
(2009.5.19 内部画像追加)