おんにょの真空管オーディオ

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古(いにしえ)の真空管を使った好音質のアンプで音楽を聴きましょう。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

6N6P直結パラシングルアンプ・特性改善

5月1日の拙ブログで、サイン波形の下側がクリップしていることを書いた。これについて解析を行った。

 

どうやら出力管のバイアス不足が原因のようだ。それに、もっと高い+Bが欲しい。

 

 

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6N6Pの実際の動作点からロードラインを引いてみた。パラシングルなので、1管相当の14KΩで引いているのが黒線。バイアスの深いところでの特性が示されていないが、これではロードラインが有効に引けていない。

 

そこで7KΩのロードラインを引いてみたのが青線だ。こちらのほうがバランスが良い。出力トランスは3.5KΩ:8Ωとなる。DFは7KΩでもNFB無しで2.6あるから、NFB前提なら3.5KΩで行けるだろう。

 

 

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+Bの電圧が設計値の300Vに対して290Vしかないことについては、FETリプルフィルタでの電圧降下が18Vあることに起因する。電圧降下を減らすためにVR2の抵抗値を減らすとリプルが増える。また、整流ダイオードを経たところに100Ωをダイオード保護のために入れているが、この電圧降下が6.4Vある。この抵抗は取ってしまっても良いだろう。これらのフィッティング及び変更で、+Bは305Vになった。これでOKだ。

 

あと、出力管のカソード抵抗R8のフィッティングを行って、4KΩから4.56KΩとした。最終的にサイン波形の上下が同時にクリップするようになった。

 

初段SRPPの+B抵抗R5を増やしてやるとSRPP出力点の電圧が下がるので、出力管のバイアスを増やせる。でもオシロで観測すると2次歪みが増加するので、結局はR5の値は変更しなかった。

 

回路の値が決まってきたのでNFBをかけることにした。とりあえず6dBとした時のNFB抵抗値は330Ωとなった。手持ちに300Ωの抵抗があったので、現在はそれをつけている。

 

 

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回路変更後の諸特性をとってみた。周波数特性は高域が50KHz以上に伸び、出力は1.0Wに増加した。DFは3.8程度あるから十分だろう。残留ノイズは0.3mV前後まで減少した。

 

特性チェックはこれくらいにして、試聴を行った結果を以下に示す。

 

私の印象

・すっきり、くっきり、さわやか

・低音良く出る、これはDFが低いせいか。(NFB無しでの試聴)

ケーナの音がくっきり聞こえる。というか、際だって聞こえる。

・残留ノイズは、100Hzの音だと思う。50Hzの音は聞こえない。

・センターの音は、凝縮してセンターに聞こえる。デジアンで経験したものに似ている。

・弱音〜強音のリニアリティが良い。

 

妻の印象

・もっと低音が出たほうが良い。前に作ったアンプ(12B4A全段SRPP)はもっと低音が出ていたでしょ?

サンポーニャの音のキレが良い。

・このほうが一般受けするんじゃない?

・グライコで中音が上がっているような感じ。

・中音よりちょっと上の音のキレが良い。

・若者向けのアンプだよね。ノリが良い。

・メロディーラインを聴きたいという用途に適している。

・リズムを聴くにはもの足りないかなあ。(妻は打楽器をやるのでそちらを聴いている)

喜多郎シルクロードを聴いたらよいかも。